2024.09.24
土砂災害の流出土砂量をAIで把握(記者会見)
同時多発的な土砂災害が発生した際、迅速に流出土砂を処理することは復興の鍵となります。2024年1月1日の能登半島地震では、空中写真の判読によって災害発生からわずか3日後に崩壊・堆積分布図が公開されましたが、流出土砂量の正確な把握にはさらに多くの時間がかかりました。大規模土砂災害の全貌を把握するには、航空レーザ計測による地表面測量データ(Digital Elevation Model, DEM)が有用ですが、その作成には時間がかかるという課題があります。
佐藤丈晴教授らの研究グループは、同時多発的な土砂災害発生直後に迅速かつ効率的に土砂移動域を特定し、流出土砂量を把握する技術を開発し、特許出願しました。この手法は、航空レーザ計測で速やかに取得できるDigital Surface Model(DSM)に着目したものです。DSMの活用により、従来のDEMに比べて大幅な効率化と時間短縮が期待できます。
本研究では、熊本地震および西日本豪雨で甚大な被害を受けた熊本県阿蘇市と広島県呉市を対象に、災害直後の航空レーザ計測によって生成されたDSMを基に、土砂移動分布と土砂量を迅速に把握する手法を報告します。この手法を採用することで、従来の方法よりも10分の1以下の期間で流出土砂量を算定し、労力とコストを抑えつつ、災害直後の復旧体制の迅速な整備に役立つことが期待されます。