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生物地球学部 生物地球学科でおこなわれている、様々な講義・野外実習・各研究室でのイベントを紹介しています。随時、記事がアップされますので楽しみにしてください。

古代マヤ文明の遺跡調査を進める日本、米国、メキシコなどの研究チームが、マヤ文明で最古・最大とみられる建造物を確認したニュースが6月4日、新聞・テレビで大きく報道されました。チームには本学基盤教育センターの那須浩郎准教授も参加。農作物を中心とした考古植物学が専門の那須准教授は、発掘された植物から当時の人々の様子を推測する役割を担いました。「今後、マヤ文明の発祥にトウモロコシがどう関わっていたのか、そして植物を通して当時はどんな気候だったのかを解明していきたい」と目を輝かせています。
 
那須准教授は宮崎市出身。千葉大学・大学院修士課程を経て、総合研究大学院大学先導科学研究科助教だった2010年からマヤ文明の調査に関わっています。2017年に理大生物地球学部准教授、2020年から基盤教育センター准教授です。
 
今回、メキシコ南部のアグアダ・フェニックス遺跡において、レーザーを利用した航空測量で見つかった建造物は、南北約1400m、東西約400mの祭祀用とみられる大きな基壇。那須准教授はこの基壇や周辺から儀礼などで燃やしたとみられる木炭を採取し、それを東京大学総合研究博物館の大森貴之特任研究員が、紀元前1000年と特定しました。
 
「植物を指標として昔の環境を調べるのが私の研究です」と那須准教授。「環境が変わると植物も変わります。植物を通して当時の人の営みが見えてくるのです。具体的なデータで、それを解き明かしていくのが楽しい」。今回のアグアダ・フェニックスの調査には2018年から参加。毎年、乾季の2月~3月に約2週間通って、調査を続けてきました。
現地で発掘した木炭などの分析はまだまだ継続中。「土を洗って種子や木片を取り出しては分析する。地道な作業ですよ」。日焼けした顔に白い歯がこぼれます。今後の研究成果が大いに楽しみです。


「マヤ文明の発祥過程を解明したい」と意欲的な那須准教授