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生物地球学部 生物地球学科でおこなわれている、様々な講義・野外実習・各研究室でのイベントを紹介しています。随時、記事がアップされますので楽しみにしてください。

2年生の松井瀬奈さんが国立天文台ハワイ観測所の観測研究体験企画に参加をしてきました。申請書とプレゼンによる選抜で選ばれ、10月20日から25日の期間にハワイ島のマウナケア観測所にあるすばる望遠鏡で研究体験をしてきました。下調べなど、色々と準備が大変そうでしたが、充実した経験をしてきたようです。




「体験報告記」
この企画で過ごした6日間は初めての経験の連続でした。最も印象に残っているのはやはりすばる望遠鏡を用いた実際の観測です。すばる望遠鏡は全てコンピューター制御なのでドームの開閉から実際の観測まで全て制御室の中から行います。望遠鏡を目標天体に向けるためのボタンを自分でクリックした瞬間の緊張感や、モニター越しに見える望遠鏡が動いていく姿、そして捕らえた目標天体の姿を見た時の感動は今でも全て鮮明に覚えています。学部生ですばる望遠鏡を操作させていただけるなんてこの企画に出会うまでは夢にも思いませんでしたし、本当に一生の思い出に残る体験でした。また、今回の観測はすばる望遠鏡のHDSというエシェル型分光器を使用した分光観測でした。以前から私は生物地球学科で所有している分光器の調整にも関わらせていただいており、卒業研究でも分光観測に取り組みたいと考えています。偶然にも私の興味のある分野と今回の観測企画のテーマが合致したこともあり大学で学んだ事を生かし、反対に観測体験企画から学んだ事を持ち帰ることもでき、分野の深い理解にも繋がりました。
このようなデータの取得だけでなく、解析まで終えて初めて観測天文学です。しかし本企画の6日間の中でデータ解析は途中までしかできなかったため、その後に現在も参加者でオンラインでの議論を続けながら解析を進めております。今後の解析結果は上手くいけば日本天文学会で発表予定です。
インターネット社会とも言われる現代、天文学の観測はコンピューター化が進み、すばる望遠鏡も国立天文台三鷹キャンパスからリモート観測が可能となっています。それは非常に便利で効率的である一方、天文学者が現地に行く機会は大幅に減少してしまいました。しかし観測天文学を志す私にとって1度でも現地へ行ってみることは素晴らしい経験となったと強く実感しています。今回現地に行けたからこそ、標高約4200mの山頂での観測の大変さや現地の研究環境など観測天文学の実際を肌で感じることができました。この経験を今後の大学・大学院での研究にも生かしていけたらと思います。