第6回生物地球システム学科談話会
題目:湖沼年縞分析による高精度の環境史復元
講演者:福澤 仁之 さん (東京都立大学地理学教室教授)
講演概要: 最終氷期から完新世にかけての地球環境の変動については、グリーンランド や南極の氷床コア、ヨーロッパや日本の樹木年輪および湖沼年縞堆積物コアによって、数年オーダーの変動が復元されつつある.とくに、ダンスガード・オシュガーサイクルやボンドサイクルなどの突然かつ急激な気候変動が最近世界各地のさまざまな氷床や堆積物から検出されている.また、われわれ人類が地球表層システムに対して人為的なストレスを継続的にかけ続けている現在、システムが突然かつ急激に変動する可能性が指摘されている.将来の変動モードを知る上でも、気候あるいは海水準変動がどのようなスピードでどれくらいの期間継続したのかを知ることは非常に重要である.1991年に福井県三方五湖の水月湖湖底から年縞堆積物(varved sediments)が発見されて以来、日本列島各地の湖沼から年縞が続々と発見されるようになった.この年縞は1年1年の明暗の地層の積み重ねであり、その枚数計測を行なうことによって「天然の時計」かつ微生物化石や鉱物・元素組成を検討することによって「天然の環境変動検出計」であることが明らかとなった.年縞の発見および解析方法の開発は,過去-現在-将来の環境変動を解明し予測するために最も重要なテーマとなっている.これらについての最新の成果と将来の研究計画などについて紹介したい.
日時:12月26日(木) 1600-1700
場所:21号館1階会議室入り口左手奥)