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生物地球学部 生物地球学科でおこなわれている、様々な講義・野外実習・各研究室でのイベントを紹介しています。随時、記事がアップされますので楽しみにしてください。

第59回生地談話会を下記の通り開催致します。学内外のどなたでも自由に参加できます。皆様のご参加をお待ちしています。  

演題:「獣の世界と人間の世界の境界線で」

講演者:堀内 史朗(岡山理科大学大学院研究員/吉備国際大学非常勤講師)

概要:  
霊長類の社会を,採食条件や捕食圧などの生態的条件によって説明しようとする社会生態学の理論が,1980年代後半から諸学会において支配的になってきました.野生ニホンザルは亜熱帯から亜寒帯,奥山から農地・住宅地など,様々な環境に進出しています.社会生態学の予測を検証するにあたってうってつけの動物です.野生ニホンザルに見られる地域間変異の一例として,人里近くにいる群れは奥山の群れに比較して群れの大きさや密度が高いことが知られていました.農地は採食条件がよく,人の攻撃に対抗しなければならないことが,群れサイズ・密度に影響していると議論されてきました.
しかし社会生態学の予測には不備もあります.子殺し,人による開発も霊長類社会に影響を与えます.我々は,社会生態学の理論が必ずしも想定していなかった「群れの相対的位置関係」を元に,人里と奥山の群れの違いを説明することを試みました.
複数の群れが有限空間内で競合する計算機実験をおこないました.その結果,たとえ人里に捕食圧が無く,また栄養条件が悪かったとしても,人里付近には大きな群れが多数現れることが予測されました.こうした意外な結果が生み出されるメカニズムについて議論いたします.

日時:3月6日(金)16:00~17:00
場所:21号館1階会議室
                   世話人 動物学科 高崎浩幸