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生物地球学部 生物地球学科でおこなわれている、様々な講義・野外実習・各研究室でのイベントを紹介しています。随時、記事がアップされますので楽しみにしてください。

第35回生地談話会のご案内をいたします.今回は大学院の集中講義でおいでい ただく近藤先生に,講義の一部を公開して頂く形で企画いたしました.いつも と時間と場所が違いますのでご注意ください.


題目:カラベリー結節の形態と発生
講演者:近藤信太郎さん(昭和大学歯学部教授)

講演概要: 歯の形態学においてカラベリー結節ほど良く知られた歯冠形質は無い。この談話会ではこの形質の人類学的な背景を概説し,その形態と発生に関する最近の研究を紹介したい。カラベリー結節はコーカソイドに多く,モンゴロイドには少ないとされている。また,結節型だけでなく,小窩あるいは溝といった様々な表現型が見られ,カラベリー形質群とも呼ばれる。系統発生的には歯帯に由 来するとされる。個体発生学的には結節が大きい場合には独立した石灰化点をもち,咬頭と同様な発生過程をたどるとされている。カラベリー結節の発達程度と歯の大きさの関係を分析したところ,カラベリー結節の発達の良いものほど歯が大きく,その違いはハイポコーン面積で顕著であった。しかし,カラベ リー結節とプロトコーンの面積を分けて計測した場合,カラベリー結節がみられない場合よりプロトコーン面積は有意に小さかった。これらの結果を咬頭発現の分子メカニズムに基づいて以下の推論をした。歯が大きい場合には,将来の咬頭(カラベリー結節)を形成する5番目の二次エナメル結節が発現するのに十分な時間的な余裕ができる。咬頭を形成する内エナメル上皮同士の相互作用により,プロトコーンの大きさに影響が出ると考えられる。ハイポコーンが大きいのは歯の形成時間がかかるので,遅く発生するハイポコーンが十分に発育する余裕があると考えられる。

日時:10月 27日(木)15:00-16:00
場所:21号館1階22112教室