最近の出来事2017

 


2017年11月30日 ブランディング事業定例報告会の開催

 11月23日に,私立大学ブランディング事業『恐竜研究の国際的な拠点形成-モンゴル科学アカデミーとの協定に基づくブランディング-』の本年度定例報告会(2回目・中間報告会)が実施されました。定例報告会は,毎年度3回実施しています。今回は2年目の中間報告であったため,多くの研究で進展が報告されました。今後,学会での発表や論文化が期待されます。なお,本プロジェクトには本学学生も参加しており,本報告会でも学生が発表を実施しています。緊張していたようですが,よい経験のできる機会を得ることができました。今後も頑張ってください。

【写真上】石垣研・西村君によるShar Tsav調査報告(ドローン調査)
【写真中】實吉研・寺田君によるKhongil Tsav調査報告(堆積環境復元と層序)
【写真下】實吉研・山本君による恐竜研究の報告(Protoceratopsの形態学的研究)

 


2017年11月2日 米国地質学会での発表(シアトル市)

 10月22日から25日に,アメリカ合衆国シアトル市で開催されたGeological Society of America(GSA)Annual Meeting 2017(アメリカ地質学会年会2017)にて,古生態・古環境学研究室(實吉)の大学院生2年の浅井瞳さんと実吉の共同発表として,『STRATIGAFIC ASSIGNMENT OF EOLIAN AND FLUVIAL SEDIMENTS IN UDYN SAYR, GOBI DESERT, MONGOLIA USING AN INDICATOR OF DEFECT CENTERS IN QUARTZ COMPOSED OF SAND PARTICLE』とのポスター発表を行いました。これは,モンゴルゴビ砂漠に分布する上部白亜系Djadokhta層の石英粒子のESRおよびCLによる鉱物特性を用いて,広域の層序対比が可能であるか確かめたとの内容です。浅井さんは,昨年に続き,2度目の海外での発表でしたが,英語発表にも果敢にチャレンジし,研究内容を説明していました。本研究室の院生は,なるべく外部の学会発表でその成果を公表し,論文化するトレーニングを実施しています。今後,浅井さんの研究成果も論文化していくことになりますね。頑張ってください。

 アメリカ地質学会はとても大きな学会であり,研究対象も幅広く,特にモンゴルにおける中世界については,北米との対比も含め,みなさんが注目してくれる内容です。一昨年度はSociety of Vertebrate Paleontology(SVP)にて,増田さんが発表をしてくれましたが,これらの二つの学会がモンゴルにおける地層や恐竜研究の主な発表場所となります。今後も本研究室の学生さんが参加していくことでしょう。なお本発表は,科学研究費補助金若手(B)『石英粒子を用いた新たな化石産地同定法の開発』(代表;実吉玄貴)や,私立大学ブランディング事業『恐竜化石研究の国際拠点形成』(研究代表;石垣忍)での研究成果の一部をまとめたものです。また発表は,生物地球学科の西戸先生,応用物理学科の豊田先生,モンゴルIPGのKhishigjav Tsogtbaatar所長との連名です。

【写真上】ポスター発表する浅井瞳さん(M2)
【写真中】ポスター説明を英語でする浅井さん(ちょっと焦っています)
【写真下】シアトルの街は綺麗でした

 


2017年10月2日 モンゴル調査再び

 夏の本学ブランディング事業の調査は,8月に終了しましたが,これらの事業の学外協力研究者に参加して頂いている,北海道大学総合博物館の小林快次准教授のモンゴル調査が,9月に実施されました。特に中国・モンゴル国境付近に位置する化石産地を訪れるとのことで,今回北大隊に参加し,9月12日から27日の日程で,モンゴル調査を実施しました。フィールドワークは,13日から23日と10日余りでしたが,初めて訪れる化石産地の調査はとても新鮮でした。何とか大まかな層序をたてましたが,まだまだ調査を必要とするサイトです。

【写真上;今回調査を実施したShiluut Ula露頭の一部。】
【写真中;調査露頭の一部。淘汰の良い河川堆積物からできています。】
【写真下;蛇行河川の側方付加と上方細粒化が残されている露頭です。教科書みたいですね。】

 


 この他,Shiluut Ulaには貫入岩が地層を抜いており,地質学的に興味深い露頭が数多くありました。また基盤との関係性も調査できましたので,今後の調査に活かせそうです。

【写真上;堆積岩に貫入している露頭。柱状節理が素晴らしい。】
【写真下;帰りにガソリンを入れたマンダルゴビでの夕焼け。今年も無事に終わりました。】


2017年9月5日 モンゴル・ゴビ砂漠調査

  7月25日から8月23日の日程で,モンゴルゴビ砂漠に分布する上部白亜系の調査を実施しました。この調査は,岡山理科大学が採択された,私立大学ブランディング事業の一環であり,本年は東ゴビから南東ゴビにかけて,複数の化石産地を調査しました。詳しい発見などは,今後のプレス発表や論文に記載されていきますが,簡単に調査の様子をレポートしたいと思います。

 本年は,主に調査隊を2つにわけ,先発隊はKhongil Tsavを中心とする東ゴビ地域,後発隊はShar Tsavを中心とする南東ゴビ地域の調査を実施しています。實吉研究室からは,修士学生2名(浅井さん,蔦永さん),学部学生3名(寺田さん,山本さん,吉越さん)の計5名が参加しました。特に,浅井さんと寺田さんは,私と一緒に東ゴビから南東ゴビにかけて3週間の地質調査を実施し,実にたくさんの堆積柱状図を作成してくれました。また蔦永さんは,後発隊の主力メンバーとして,Shar Tsav付近に分布する複数産地の調査を行ってくれました。長年懸案だった層序対比を確立していますが,詳しくは論文にしていきます。また山本さんと吉越さんは,後発隊として化石発掘とウランバートルでの標本調査に汗を流しました。再蒙の学生も,はじめての学生も,みなさん無事に戻れてよかったです。

以下に,調査地などを紹介していきます。

まずは前半のKhongil Tsavです。ここでは17本におよぶ堆積柱状図を作成しました。Khongil Tsavは露頭状態が極めて良好で,地層の形成過程や恐竜の生息した当時の環境復元の鍵となると思っており,今回ようやく長期の調査が実現しました。Khongil Tsavでは7月30日から8月9日の間,調査を実施しています。

【写真1段目;Khongil Tsavの露頭です。いい露頭過ぎて登るのが大変です(汗】
【写真2段目;当研究室の浅井さんと寺田さん。古流向を測定しています。】
【写真3段目;一緒に活動していたメンバー。左から浅井さん,寺田さん,応物の新田さん,IPG研究員のEneeさん】
【写真4段目;IPGのメンバーが見つけた竜脚類の脛骨。後に石膏ジャケットとして採取しました。重かった・・・】

次に後半のShar Tsavです。ここからは数多くの足跡化石が産出することで有名であり,いくつかの骨格化石も発見されています。今年は,総勢40名弱の大キャンプを張って,発掘作業に当りました。我々は,かねてより懸案であった周辺産地との層序関係を整理し,その堆積環境を明らかにすることで,恐竜研究に貢献しました。特に今年は,Bayshin TsavやKhoorai Tsavといった産地との層序関係が明らかになりましたので,大きな成果を出すことができました。また化石発掘も,素晴らしい標本群を発掘しましたので,プレスをお楽しみに。

【写真1段目;Shar Tsavの露頭です。本当にきれいなRippleですね。】
【写真2段目;荷重痕を上から見たところです。一見すると足跡と勘違いしそうですが,足跡にはない特徴が見られます。】
【写真3段目;露頭条件はあまりよくありませんでしたが,これまでのゴビでの経験をフル活用して,層序確立にこぎつけました】
【写真4段目;Shar Tsav層序・堆積班。Khongilのメンバーに加え,右の蔦永さんと左のIPG研究員のTeksheさんの計6名です。】


2017年7月17日 沖縄県黒島を訪問

 本研究室の卒業研究で,沖縄県の石垣島南西および西表島南東に位置する,黒島を訪れました。黒島には,NPO法人日本ウミガメ協議会付属黒島研究所があります。今回は,こちらの研究所で,陸上生態系の研究を実施します。詳細はまだ申せませんが,研究が進み,結果が出ましたら,またご報告致します。また黒島研究所は,すごいサンゴコレクションを保管しています。これほどの規模は,国内でなかなか見られないものです。感動してしまいました。
 また,黒島はサンゴ礁の隆起によって形成された島です。そのため,地形的にも面白いものが沢山観察できました。これまでテキストや論文,研究発表で見たことはあっても,実際にじっくりと目にする機会は,実はこれが初めてでした。本当に勉強になりました。これは大きな財産になりました。

【写真1枚目;黒島研究所のサンゴコレクション】
【写真2枚目;干潮・満潮の間の砂浜に打ち上げ跡がきれいに観察できます】
【写真3枚目;ウミガメの産卵時に残された歩行跡です】
【写真4枚目;西表島に沈む夕日です】


2017年7月10日 恐竜・古生物学コースの教員公募

 以下のアドレスで,本学部の教員公募が出ています。興味のある方は,ぜひ目を通して頂きたいと思います。少しずつですが,体制を整えていければと考えています。

 http://www.ous.ac.jp/rect/2017/pdf/bio2_20170626.pdf


2017年6月29日 北海道大学総合博物館を訪問

 6月の最終週、生物地球学科の卒論生2名と一緒に、北海道大学総合博物館を訪問しました。今回は、小林研究室の大学院生さん達による、系統解析に関わるゼミを受講しました。ゼミには、北大の大学院生さんや学部生さんも参加し、系統解析に関わる基礎知識から、実際にソフトを使用した解析演習まで行います。今後、本学でもこのようなゼミができるよう、当研究室の卒論生にも頑張ってほしいと思います。


 なお、北大へ留学中のIPG研究員の方と、北大と岡山理大の共同調査についても打ち合わせをしてきました。今年の夏はモンゴル・ゴビ砂漠で多くの時間を過ごすことになりそうです(汗。


2017年6月20日 モンゴルのIPGを訪問


 6月11日から17日にかけて、モンゴルウランバートル市にあるIPGを訪問しました。今回は、科学研究費補助金・若手B『石英粒子を用いた盗掘化石の産地同定法の開発』に関わり、現在までの解析結果を基に、今後の分析方法と、論文化について議論をしてきました。

 また同時にモンゴルを訪問した、動物学科の高橋先生と生物地球学科の林先生は、モンゴルでの標本調査、および夏のフィールド調査準備を実施しました。合間を見て、私も一部を手伝いながら、夏の調査へ向けて、準備が整いつつあります。


2017年3月27日 なぎビカリアミュージアムにて講演会

奈義町にある、なぎビカリアミュージアムでは、3月18日(土)から5月7日(日)の期間、なぎ春のビカリアまつり『化石たちが語る世界』を開催しており、生物地球学部は特別協力として、恐竜化石の展示等に関わっています。これに合わせ、3月26日(日)に講演会を実施しました。現在、大学にてすすめている私立大学ブランディング事業を紹介しつつ、研究室の卒論生が製作した『発掘体験キッド』を使ったワークショップも開催しました。昨年は、砂の大きさをそろえていましたが、今年は細粒砂と粗粒砂の互層や、粒の大きさがそろっていない(不淘汰)キッドを製作し、ワークショップに使用しました。すぐに掘り終ってしまうほど、みんな一生懸命発掘してくれました。今後の改良に活かしたいと思います。

【奈義ビカリアミュージアム春のイベントチラシ 表・裏】


【写真上:講演会の様子】
【写真中:発掘体験キッドのスタート。少しだけ化石が見えます】
【写真下:あっという間に掘り進みました。】


2017年3月24日 私立大学研究ブランディング事業 年度末報告会&公開シンポジウムの開催

 先月末に引き続き、3月12日(日)に私立大学研究ブランディング事業「恐竜研究の国際的な拠点形成」に関わる、年度末報告会と公開シンポジウムが開催されました。外部研究協力者になって頂いている北海道大学博物館の小林快次准教授にも参加していただき、本プロジェクト研究が何を目指すのか、皆さんへご紹介する場となりました。私も研究室の卒論生や修論生が関わる、モンゴルゴビ砂漠の後期白亜紀の地層に関する調査結果を報告させてもらいました。今後、学会発表や論文化へ向けて頑張ります。なお、直後にウランバートル出張のため報告が遅れました。26日(日)はなぎビカリアミュージアムで講演会をします。

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日 時: 平成 29 年 3 月 12 日(日)10:00‐16:40
会 場: 岡山理科大学 25 号館 8 階理大ホール

午前 平成 28 年度研究成果発表会 (10:00‐12:00)総合司会 石垣忍
10:00 副学長挨拶 副学長 星野卓二
10:05 モンゴルにおける恐竜研究の意義 生物地球学部教授 石垣忍
10:15 モンゴルでの野外調査報告と今後の展開 生物地球学部講師 實吉玄貴
10:35 恐竜化石の年代測定に向けて 理学部教授 豊田新
10:55‐11:05 休憩
11:05 恐竜の生態と生理および恐竜と共存した動物 理学部准教授 高橋亮雄
11:25 私立大学研究ブランディング事業と広報活動 生物地球学部教授 能美洋介
11:40 まとめと来年度の計画・全体を通しての質疑応答 石垣忍

午後 私立大学研究ブランディング事業公開シンポジウム
「恐竜時代のモンゴルと地球環境」(14:00-16:40)総合司会 石垣忍
14:00 学長挨拶 学長 柳澤康信
14:10 モンゴルの地質と大陸古地理図 理学部講師 青木一勝
14:30 世界最大級の足跡はだれがつけたのか? 生物地球学部教授 石垣忍
14:45 モンゴルの恐竜産地とその保護
モンゴル古生物学地質学研究所研究員 ブーヴェイ・マインバヤル
15:05‐15:20 休 憩
15:20 巨大植物食獣脚類の進化と生態:モンゴル恐竜の重要性
北海道大学総合博物館准教授 小林快次
16:10 パネルディスカッション 「フィールドで何を読み取るのか」
司会 生物地球学部講師 實吉玄貴
16:35 おわりに
恐竜研究ブランディング事業リーダー 石垣忍
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【写真上】私が実施した研究報告
【写真中】研究室院生による展示物の解説
【写真下】パネルディスカッション(モンゴル調査での苦労話や恐竜研究の醍醐味など)


2017年3月3日 私立大学研究ブランディング事業 定例報告会開催

 本年度より文部科学省より採択された、私立大学研究ブランディング事業「恐竜研究の国際的な拠点形成」に関わる、定例報告会が2月28日に岡山理科大学構内にて実施されました。報告会には、生物地球学科の学部学生(来年度からの卒論生)を中心に、20名ほどが参加しました。本年度は、本事業初年度であり、来年度以降の研究推進やその方向性についての報告が中心となりました。

なお報告会のプログラムは以下の通りです。

プログラム:
総合司会 石垣 忍
9:00-9:05 挨拶 石垣 忍
9:05-9:35 モンゴル恐竜化石構成鉱物の特定と U-Pb 年代測定の可能性 西戸裕嗣(生物地球学科)
9:35-9:55 LA-ICP-MS の導入:研究プロジェクトにおけるその必要性 青木一勝(基礎理学科)
9:55-11:00 休 憩 (避難訓練)
11:00-11:20 モンゴル恐竜化石の組織学的解析の試み 辻極秀次(臨床生命学科)
11:20-11:40 モンゴル恐竜サイトの調査と地質 實吉玄貴(生物地球学科)
11:40-12:00 モンゴル恐竜サイトの保護活動
ブーヴェイ・マインバヤル(モンゴル古生物学地質学研究所)
ジャルガルサイハン・バトスフ(モンゴル古生物学地質学研究所)
12:00-12:20 おわりに 石垣 忍

生物地球学科の西戸教授による恐竜化石内鉱物に関する報告

臨床生命学科の辻極教授による恐竜化石の組織学的研究の報告

報告会後の集合写真(岡山理大26号館前にて)


2017年2月17日 卒論・修論発表会

 本年度の卒論と修論の発表会が、2月11日・12日に実施されました。本研究室からは卒論5人、修論1人がエントリーし、発表を行いました。みなさん、これまでの成果をまとめて発表するのに苦労しましたが、よく頑張ったと思います。多数の皆様の支えがあり、なんとかここまで来れました。なお、一部は3月になぎビカリアミュージアムにて開催される春の特別展で公開される予定です。

【卒業研究】
『参加型展示に用いる互層した模造砂岩の開発』
『モンゴル国ゴビ砂漠南東部Bayshin Tsavの岩相層序と古環境の解析』
『石英のCL特性を用いた化石産地同定法の開発』
『参加型展示に用いる不淘汰な模造砂岩の開発』
『岡山県北東部奈義町より産出するVicarya sp.の棘数変化』

【修士研究】
『軟体動物化石を用いた中新統吉野層の古環境復元』

 



2017年2月7日 もう2月

 はやいもので,2月になってしまいました。年明けから紀要論文2本の校正と、修論卒論(計6名)の指導、担当教科の最終評価試験と成績決定、来年度のカリキュラムや授業体制の素案作り、私立大学ブランディング事業および岡山理科大学研究プロジェクト推進事業に関わる各種業務、なぎビカリアミュージアム特別展対応などなど、HPには書ききれない色々なことをしていました。怒涛の1カ月をやり過ごしていました。

 これから2月11日の修士論文発表会、12日の卒論発表会、28日のブランディング定例報告会、3月12日の公開シンポジウムなどなど、年度末へ向けて、また忙しい日々がはじまりそうです。2月14日にはモンゴル科学アカデミーIPGの若手研究員が岡山理科大学へ研究・研修にやってきます。古くからの友人もいるので楽しみです。そろそろ卒論が投稿論文化できそうなので、これも進めていきたいと考えています。

 これらの出来事を少しずつ本HPへアップできればと思います。皆様、本年もよろしくお願い致します。