最近の出来事2018

 


2018年10月9日 本夏のモンゴル調査は無事に終わりました

 7月21日から8月16日、9月21日から10月6日の日程で、モンゴルゴビ砂漠に分布する上部白亜系の調査およびウランバートルにあるIPGにて標本観察調査を実施しました。これは、岡山理科大学が実施する研究ブランディング事業の一環で、本年は南西ゴビから中央ゴビにかけて、複数の化石産地を調査しました。調査には研究室の寺田さん(M1)、高橋さん(4年生)、高橋さん(4年生)の3名が参加し、IPGでの標本観察に4年生2名も参加しました。計5名の学生が足かけ2か月半のモンゴル調査に参加したことになります。詳細は今後の卒業・修士研究や学会発表、論文発表などで出てくる予定ですが、簡単に写真で振り返ります。

【写真上;今年調査したBugin Tsavと呼ばれる化石産地です】
【写真中上;河川が流れた跡(堆積構造)がきれいですね】
【写真中下;引いてみると、河川が側方へ付加しているのが分かります】
【写真下;寺田さん(M1)と高橋さん(4年生)が露頭で議論中】

【写真上;獣脚類の爪を高橋さんがみつけました】
【写真中;高橋さんが地層を調査中。風が強く寒い日でした】
【写真下;1920年のモンゴル恐竜調査がはじまったBayn Dzak。風成層がきれいに見えます】


2018年4月23日 モンゴルで採取したPJのクリーニング開始

 昨年夏のモンゴルゴビ砂漠調査で採取したPJ(プラスタージャケット;plaster jacket)を開封しました。GW中に開館される岡山理科大学恐竜学博物館の化石処理室内でクリーニング作業の対象となるものです。恐竜学博物館は、壁面の外側から研究室内を観察できる構造となっているため、開館期間中は化石クリーニングを実施する化石プレパレーション作業を見ることができるはずです。なおこれらの作業は、生物地球学科の学生有志で構成される生物地球科学研究会(略して生地研)に手伝ってもらう予定です。近々にクリーニング作業の練習を博物館で実施します。

【写真上】カッターを用いてPJの上部(実際は地中に埋もれていた下側)へ切れ込みを入れます
【写真中】PJ製作に使用された麻布を巻き取るように剥いでいきます
【写真下】博物館は外側から作業を見学できる構造です


2018年3月30日 モンゴルウランバートル市IPGでの調査ほか

 3月26日から30日と、短い期間ですが、ウランバートル市にあるIPG(Institute of Paleontology and Geology, Mongolian Academy of Science)にて化石標本の調査、本年夏の野外調査準備、今後の論文作成に関わる議論をしてきました。実働できたのは3日間でしたが、将来へ期待できる成果の上がる内容となりました。今年も忙しくなりそうです。

【写真上】標本調査をする臨床生命科学科の辻極先生と生物地球学科2年生のIさん
【写真中】辻極先生と一緒に写真で記録するIさん
【写真下】サウロロフス全身骨格標本の前で嬉しそうなIさん

 また、これとは別にIPGが毎週実施しているセミナーで、お話をしてくれ、と前日にお願いされ、急遽プレゼンを作って1時間ほどモンゴル上部白亜系の層序や堆積学を使った古環境復元の話をしました。実際に調査した結果を使って、地層の層序や古環境をどのように復元するのかをゆっくり説明しました。はじめての話も多くあったようで、皆さん楽しんでいただけたようでなによりです。

【写真上】参加して頂いた皆さん。
【写真下】質問に回答する私。内心は焦っていたりします(笑。

 


2018年3月24日 岡山理科大学恐竜学博物館開館とシンポジウム

 3月24日に岡山理科大学恐竜学博物館がオープンしました。この博物館は、研究ブランディング事業の中核施設として、恐竜を中心とした今後の化石研究の拠点となります。クリーニングのできるプレパレーション室はもちろん、これまでに設置完了しているX線CTや、保管庫、研究成果や学内の他学部とのコラボ企画の展示など、これからの本学における様々な場面で活用されていくと思います。今後の活動に力を入れていきたいと思います。

 また同日には、ブランディング事業の年度末報告会を開催し、評価委員会の皆様に本年度活動やこれからの活動についてご評価いただきました。大変有用な御指摘も含め、来年度以降の活動に尽力していきたいと思います。午後はシンポジウムを開催し、IPGのTsogtbaatar所長やChinzorig研究員にもお話しを頂きました。モンゴル恐竜の楽しいところが存分にお話しされたかと思います。今後とも皆さんよろしくお願いします。

【写真上】報告会でお話しをする生物地球学科の能美先生
【写真中】シンポジウムでお話しする生物地球学科の林先生
【写真下】会場には北大博物館の小林先生もいらっしゃいました。子供達に大人気でした。


2018年3月5日 Naturalistae 22号に博物館活動(卒業研究)論文が掲載

 本学のフィールドワークセンターが発刊するNaturalistaeの22号に、本研究室で実施した卒論内容が掲載されました。これは化石発掘体験ができない都市型博物館や科学館で、容易かつ安価で準備できる発掘体験の模擬基質(砂岩)をつくってみた、という内容です。卒業研究は、研究することも大切ですが、研究結果の社会発信を考える上で、このような手法開発も大切だと考えています。いわゆる化石プレパレーションと呼ばれる分野に属する内容となっています。今後、本学の恐竜博物館で展示できるといいですね。

Naturalistae22号URL;http://www1.ous.ac.jp/garden/kenkyuhoukoku/22/Naturalistae-2018feb-31-37.pdf
岡山理大フィールドワークセンターURL;http://www1.ous.ac.jp/garden/


2018年2月27日 修論・卒論の報告と3月シンポ

2月に本研究室の修士学生1名、卒論生7名の研究発表がありました。

修士研究
『上部白亜系Djadokhta層における石英粒子のESR特性とCL特性』
 この研究は、2015年から開始した本学のモンゴル調査の先駆けとなった研究です。担当した浅井さんは、4年生からの3年間、本研究課題に取り組み、モンゴル調査には、総計6回に渡り参加しました。これまで層序対比が不可能だった地層に対して、石英の鉱物特性を用いた特徴化を図り、広域層序対比にもっていく、という野心あふれる研究です。ある程度の成果が出てきたため、共同研究をしている生物地球学部の西戸先生と共に、論文化できそうです。浅井さん3年間ありがとう。4月から社会人として頑張ってください。

卒業研究
・陸上環境における脊椎動物遺骸の腐食過程~沖縄県黒島での事例~
 陸上で大型動物の遺骸が、どのように生態系で利用されるのかを調べました。化石タフォノミーの現生版です。
・モンゴル上部白亜系バインシレ層産恐竜化石の微細構造
 恐竜のエナメル形態に注目してその積層形態を観察した研究です。肉食・植物食で予想通り違いましたね(汗。
・岡山県奈義町から産出する軟体動物化石群の生息環境復元
 奈義町の貝化石から生息深度を見積もる研究です。地層には反映されない急激な海退が記録されていました。
・モンゴルゴビ砂漠東部上部白亜系Bayanshiree層の岩相層序とジルコン年代測定
 ブランディング事業の一環です。5月の連合大会で発表します。乞うご期待!
・博物館ワークショップへ活用される新たな塗装法の開発
 3月にオープンする恐竜学博物館への展示を目指して開発した化石キャストの塗装法開発です。濃い塗装を目指しました(笑。
・モンゴル産Protoceratopsの成長過程とフリル形態の変化
 モンゴル恐竜の1つであるProtoceratopsの形態研究です。まだまだですが、1月の古生物学会で発表しちゃいました(笑。
・モンゴル国ゴビ砂漠南西部上部白亜系Nemegt層産ワニ類化石の分類学的研究
 動物学科の高橋先生にお世話になったモンゴル産ワニ化石の研究です。これも3月の地質学会西日本支部で発表しちゃいます(笑。

 本当にバリエーション豊かな研究室ですね(苦笑。皆さん、それぞれに頑張ってくれたと思います。これから大学院へ進学する学生は、学会発表や論文化を目指して、精進してください。4月から社会へ飛び出す学生さんは、社会の構成員として、しっかり地に足を付けた生活をしながら、心豊かな人生を送ってもらいたいと思います。皆さん、1年間お疲れ様でした。

【写真上;卒業研究発表会会場】
【写真下;集合写真】


 そして3月24日(土)に私立大学ブランディング事業のシンポジウムと年度末報告会を実施します。関係URLをご参照下さい。

http://dinosaur.ous.ac.jp/events/report/pdf/sympo180324.pdf


2018年1月23日 卒論出そろいました,学会発表予定

 今更ながら,あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。さて,卒論のタイトルが出そろいました。詳しくは卒業・修士研究のページをご覧ください。
 また,2月の古生物学会例会,3月の日本地質学会西日本支部総会,5月の地球惑星合同学会にて,本研究室の学生(大学院進学組)が卒論を主体とした研究発表を行います。タイトルなど,詳しいことが決定次第,順次アップしていきたいと思います。これから,卒論・修論の最後の追い上げとなります。風邪やインフルエンザに気を付けながら,学生と頑張りたいと思います。
 これとは別ですが,卒論で実施した模造砂岩を使った発掘体験キットの製作法について,本学フィールドワークセンターの紀要【Naturalistae】へ投稿・受理されました。またWeb上でアップ次第,本頁でも紹介します。