最近の出来事2020


2020年12月14日 卒論奮闘中

2020年度の卒論も大詰めになってきています。研究室卒論生も、それぞれの卒論まとめへ向け奮闘中です。中でも、坂本さんが担当するモンゴル古第三系の年代測定に関する試料作りが進んでいます。モンゴルの地層は半固結状態で、通常の試料作りでは対応できません。そこで、本学の畠山教授と共同で、試料作りから模索していただきました。その甲斐あって、なんとか測定できるまでに試料作りができるようになっています。今後、学外での測定を控え、坂本さんを中心に試料作りが進められているところです。結果は、当時の哺乳類相の年代だけでなく、現在進めている複数の研究にも関わり、学術成果を期待しています。坂本さん頑張ってください!


2020年12月7日 卒業研究・修士研究の中間発表会の開催

11月28日(土)および12月4日に、卒業研究と修士研究の中間発表会がありました。本研究室からは、卒論7名・修士2名の発表を実施しました。4年生の皆さんは、自らの研究をゼミ外へ話をする初めての機会であり、できることできないこと、自らの研究計画の見通しなど、この機会に色々なことを考えるきっかけになったかと思います。また修士2年生は、修士研究の着地点や議論のしどころなど、修論提出へ向けた科学的な成果を考え直すきっかけになればと思います。今後、年明けから本格的にまとめていきますが、皆さんの活動に期待しています。

卒業研究
・岡山県北西部上部三畳系成羽層群日名畑層の堆積環境復元
・モンゴル古第三系Erigilin Dzo層の地質年代学的研究
・恐竜学博物館におけるサービス体制への提言
・モンゴル上部白亜系Nemegt層における河川形態の3D復元
・岡山県に分布する中新統吉野層から産出した植物化石の再同定
・現生河川内における葉遺骸の集積と植物タフォノミー
・モンゴル産ProtoceratopsのFrillから復元する成長様式

修士研究
・石英の酸素空孔量を用いた上部白亜系Nemegt層の層序解析
・モンゴル凹部白亜系に含まれる石英のESR信号―Yagaan Khovilの例―

 


2020年8月5日 科学研究費補助金(挑戦的研究(萌芽))の採択通知

イソイソと論文の一部を修正していたら、学内事務からの電話で『先生採択されましたよ』と言われました。頭の中は???でしたが、昨年11月に申請していた日本学術振興会科学研究費補助金、挑戦的研究(萌芽)が採択されたとの連絡でした。すっかり忘れており、電話口で反応できなかったのですが、久しぶりの科研採択に嬉しい限りでした。といっても、この研究は私立大学研究ブランディング事業における共同研究の帰結であり、臨床生命科学科の辻極先生、生物地球学科の千葉先生との共同研究です。お二人の研究力で採択までもっていけたと、心から感謝しております。これから2年半の研究成果をお楽しみに。忙しくなります・・・。
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K20950/


2020年7月20日 令和2年度から本研究室に学振PDが所属

随分更新をさぼっていましたね(汗。オンライン対応や、各種業務に追われる毎日を過ごしていました。

さて、ずっと更新せねばと思っていた件を取り上げます。令和2年度4月より日本学術振興会特別研究員として、高崎竜司さんが本研究室に赴任されました。高崎さんは、北海道大学総合博物館の小林快次教授の下での学位研究で2020年3月に学位を取得した後、4月から本学に赴任されています。専門は主竜類の体内部構造で、これまで恐竜化石に残された胃石や、現生鳥類の胃の解剖を通して、絶滅動物が残さない体の内部構造について研究を行っています。専門は多岐におよび、北海道のカムイサウルスやアラスカの鳥盤類の研究など、ハドロサウルスを中心とする分類群に深い造詣もあります。本学では、これまでの研究をさらに発展させるため、新たな視点で研究を推し進めてくれるものと期待しています。さらに、モンゴル国ゴビ砂漠の発掘調査にも参加された経験があり(実は2017年に一度現地調査をご一緒しました)、本学が進めるゴビ砂漠調査でも強力な戦力として期待しています。学部生の皆さんへ、これまでの研究や経験をお話頂く機会も作っていければと考えています(授業で登場するかも)。現在、博士論文の投稿論文化に勤しんでおり、同時に新たな研究像を模索する日々です。色々とお世話になりますが、よろしくお願いします。


2020年3月27日 本研究室学部生の研究成果が国際誌に掲載

本学が選定されている私立大学研究ブランディング事業に関連し、本研究室4年生の車田さんが取り組んできた年代測定が実を結び、本日Terra Nova(Wiley Online Library)に掲載されました。URLはhttps://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ter.12456です。論文題目等は以下の通りです。
題目;Calcite U–Pb age of the Cretaceous vertebrate-bearing Bayn Shire Formation in the Eastern Gobi Desert of Mongolia: usefulness of caliche for age determination.(モンゴル国・東ゴビ砂漠,バインシレ層のカルサイトU-Pb年代:年代決定へのカリーチの有用性)
著者;車田悠人(岡山理科大学生物地球学部生物地球学科4年生)・青木翔吾(岡山理科大学生物地球学部生物地球学科博士研究員*責任著者)・青木一勝(岡山理科大学理学部基礎理学科准教授)・加藤大地(岡山理科大学理学研究科博士課程)・實吉玄貴(岡山理科大学生物地球学部生物地球学科准教授)・Tsogtbaatar Khishigjav(モンゴル科学アカデミー古生物学研究所所長)・Windley Brian(レスター大学教授)・石垣忍(岡山理科大学生物地球学部生物地球学科教授)

車田さんは、3年生の秋学期より、基礎理学科の青木一勝先生や本学部博士研究員である青木翔梧さんとともに、モンゴル産カリーチを対象として、U-Pb年代測定に取り組んできました。試料は2017年のモンゴル国ゴビ砂漠調査にて採取され、分析が続けられてきました。そして、世界ではじめて、モンゴルの化石産出層の年代測定に成功しました。この研究成果は、恐竜研究に携わる世界中の研究者が待ち望んでいたものです。本学の年代測定技術や、ブランディング事業にて新たに導入したLA-ICP-MSが大活躍し、ついに実を結んだ研究です。青木先生等には大変お世話になりました。車田さん、本当におめでとう。そしてこれからもまだまだやることが沢山あります。大学院へ進学後も、頑張って研究を続けてください。

写真右にいるのが、モンゴル国ゴビ砂漠にて調査中の車田さん(2019年9月撮影)


2020年3月11日 本年度卒論・修論が終了しました

2019年度の卒論・修論の発表と提出が2月に終わりました。本研究室からは卒論生4名、修論生2名が卒業します。みなさん頑張りました。新型コロナウイルスに関連し、卒業式は中止となってしまいましたが、皆さんが研究・作業してきたことは、様々な場面で日の目を見るでしょう。社会に旅立っても、この頑張りは忘れずに、新しい場所と社会人として頑張ってください。なお、提出された卒論・修論は以下の通りです。

卒業研究
Oさん 『恐竜学博物館の展示更新に関わる映像記録』
現在実施中の本学恐竜学博物館が、どのような想いによって支えられ、リニューアルされていくのか、をまとめた映像作品です。映像系会社へ就職するOさんならではの卒論でした。後日、HP上等で公開される日があることを祈っています。
Kさん 『LA-ICP-MSを用いたカリーチのU-Pb年代測定』
モンゴル国ゴビ砂漠に分布する上部白亜系の放射性年代測定に成功した研究です。すでに国際誌にInpress状態です。4年生ですごいですね。本学科の修士課程へ進学します。今後も頑張りましょう!
Sさん 『マイクロウェアに基づくタルボサウルスの摂餌様式の検討』
本学科の千葉先生に多大なるご協力を頂いた研究です。歯に残された傷から、肉食恐竜の歯がどのように使われていたか推定しました。私にとっても初めての経験で、恐竜研究の新たな側面を見れ気がします。卒業後は中学校の理科の先生です。科学の楽しさを学生達へ伝えてください。
Wさん 『モンゴル国ゴビ砂漠南西部に分布する上部白亜系Nemegt層に含まれる石英のESR信号とその特徴』
本学で実施中の私立大学研究ブランディング事業の一端に関わる研究でした。鍵層もない地域で、どのように地層を対比できるのか、石英粒子を使ってトライしました。分析は大変でしたが、本当に頑張ってくれました。卒業後は、地熱発電プラントでのご活躍を祈っております。

修士研究
Tさん 『モンゴル国ゴビ砂漠東部に分布する上部白亜系Bayn Shire層の堆積環境復元』
卒業研究から引き続き頑張りました。毎年モンゴル調査にも参加し、大活躍でしたね。学科教員の評価も高く、修士進学して本当によかったです。色々とおめでとうございます。
Yさん 『Udyn Sayr産プロトケラトプスの分類学的再検討』
これも卒業研究から継続したProtoceratopsの研究です。実は『Taxonomic re-evaluation of Protoceratops (Dinosauria, Ceratopsia) from the Djadochta Formation (Late Cretaceous, Mongolia)』との題目で、英語で書かれています。英語修論ですので、皆さんが読むのは大変ですが、気になる学生さんは、4月以降に学内でご覧ください。お疲れ様です。

そして来年度は、卒論生8名、修論生3名、ポスドク1名の体制で4月から始まります。私も頑張りますが、皆さんも頑張りましょう!