生物地球学科 地球・気象学コース 地形地質学研究室 能美研究室ホームページ Study.page

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 岡山理科大のある岡山市や瀬戸内海沿岸地域には、白亜紀後期の花崗岩類が広く分布しています。

 花崗岩などの珪長質マグマは、プレート収束境界の深部で発生した塩基性のマグマが、マントルと地殻との境界付近、もしくは地殻内部で酸性化することによってできたと考えられています。

 バソリスを形成するほどの大量のマグマがどのようにして形成され、地殻内の大空間を占めることができるようになったのか、地下深部で固結したマグマは、その後どのような過程を経て地上に達したのか、地表面に出てきた花崗岩体はどのように侵食され、現在の地形を形成しているかなど、花崗岩に絡む様々な問題を考えていくと、結局は、日本列島はどのように形成されたのかの答えにつながっていると考えられます。

 能美研では各地の花崗岩など珪長質岩類を研究対象として卒業研究や大学院の研究を進めています。


 

■ 花崗岩等珪長質岩の研究(野外研究)
 花崗岩は、岩石全体の化学成分のうち珪酸(SiO2)を2/3以上含む酸性のマグマが、地下深くでゆっくりと冷えて等粒状組織を作った岩石です。マグマによって化学成分が違うこともありますが、マグマの中での位置によっても違っていることがあるほか、冷え方もマグマごと、もしくはマグマ内の位置によって違うので、その表情は多様です。
花崗岩研究の第1歩は、ある地域にどのような表情の花崗岩が見られるのかを明らかにすることです。そのため、現地調査によってその表情(岩相)を確認することはとても重要です。現地調査では、肉眼観察(そのまま+ルーペを使った観察)によって岩相を記載します。また、観察地点の周囲の状況も確認し、岩石の組織が大きく方向性を持っていないかとか、断層や貫入岩の有無、それらの方向などを記載していきます。研究目的によっては、風化の度合いを記載することもあります。最終的な成果として、花崗岩の分類を行い地質図を作成します。
■ 花崗岩等珪長質岩の研究(室内研究)
 岩石を詳しく記載するために、野外から岩石のチップを持ち帰って厚さ0.02mmの薄片を作成し、偏光顕微鏡で観察します。これによって、含まれる鉱物の種類、鉱物同士の関係などを読み取ることができます。
 また、岩石試料をパウダ-にしたものを使って、蛍光X線分析により全岩化学組成を調べます。どのような元素が何%くらい含まれているのか、微量元素はどのくらい含まれているのかを明らかにして、岩石の分類やマグマの起源推定の資料にします。
 さらに、薄片内の特定の鉱物についてEPMAを使って、元素の含有量を調べ、その鉱物についてさらに詳しい性質を調べることもできます。
■ ジルコン結晶形の記載
 ジルコン(ZrSiO4)は花崗岩の代表的な副成分鉱物です。硬度が高く、化学的にも侵されにくいので、風化した岩石からも取り出せます。
 ジルコンは正方晶系の鉱物で、花崗岩などにみられるものは2種類の柱面と2+1種類の錐面の組み合わせからなる結晶形態を持つことが多いですが、これらは様々な割合で出現するので、ジルコンの結晶形は実に多様です。しかし、マグマから晶出される結晶は、マグマの温度や化学成分などに規制された結晶形をなすと考えれば、「結晶の形態は晶出させたマグマの性質についての情報を持っているに違いない」という作業仮説のもと、当研究室では、「どの花崗岩にはどんな形態のジルコンが晶出されているのか」のデータを集めています。
 ジルコン結晶形態解析は、花崗岩の成り立ちを考える有用なツールになるとの希望のもと、この研究を進めています。
■ 花崗岩の風化・断層岩の研究
 瀬戸内海沿岸の花崗岩分布地域では、悪石地形と呼ばれる花崗岩地特有の地形が展開しています。これらの地形は、花崗岩の岩盤が隆起・風化・侵食を受けて形成されたに違いないのですが、ある地域に限定して隆起・風化・侵食がどのような過程を経て作用してきたのかを説明することはなかなか難しいことです。
 そこで、能美研では花崗岩の風化や断層との関係などについての研究も進めています。
 最近では、倉敷市にある亀島山の地下壕でこれらに関係する一連の研究を実施しています。
 断層岩については、大阪南部の領家帯花崗岩中にみられるマイロナイトを対象に記載的研究を進めています。
■ GISを用いた地域解析
 地質学は、地質という切り口で地域を知るための学問という一面があり、この立場では地理学ととてもつながりが深いと考えられます。地理学では、地図を基本ツールとして用いますが、最近では数値地図を基に数理的に地域解析を行うことも実施されています。その際、GIS(地理情報システム)という道具が大変役に立ちます。
 地質学的な解析においてもGISは有効であり、地形と地質の相関性や、その他の地象との関係を論じるときには大変便利です。もともと、能美が情報地質学を専攻し、数値地図の一つであるDEM(数値標高モデル)を作成する方法について研究を行っていたという経緯から、本研究室ではGISを利用した地域解析を研究テーマの一つとして取り扱っています。

 


最近の論文・発表など

池田・能美(2017) ジルコン結晶形態からみる鹿児島県大隅半島南部の花崗岩体の冷却パターン.Naturalistae,21,pp.59-68.
能美(2016) 複雑な岡山の地質.シリーズ「岡山学13」データで見る岡山,岡山理科大学「岡山学」研究会編,pp.8-31,吉備人出版.
土屋・鹿山・西戸・能美(2016) ジルコンのカソードルミネッセンスを用いた放射線損傷の評価.日本地質学科第123年学術大会.
池田・能美(2016) 造山帯・日造山帯に産するジルコン結晶形態.日本地質学会第123年学術大会.