岡山理科大学生物地球学部生物地球学科園芸学研究室のホームページです。

これまで研究してきたこと
史前帰化植物と自生植物の浸透交雑: ミチノクナシとヤマナシの浸透交雑を集団遺伝学的手法で研究しました。
‘染井吉野’のクローン性の検証: サクラの栽培品種の‘染井吉野’には一つの遺伝子型しかないことを、マイクロサテライトマーカーで検証しました。
バラ科の木本植物の分類: ナシ属(Pyrus)、リンゴ属(Malus)などの分類について研究してきました。
現在研究中のこと
集団遺伝学的手法による史前帰化植物の検証: モモやビワが本当に自然帰化植物であるか否かをマイクロサテライトマーカーで解析しています。
リンゴ属の種内倍数性による集団分化: ズミやエゾノコリンゴの種内倍数性、地理変異や、表現型との関係を調査しています。
栽培品種の命名に関する問題の研究: 国際栽培植物命名規約の改正を審議する委員会のメンバーとして命名規約をより良くしていくために、特に日本語や日本の慣習に関わる問題点を調べています。
これらに加えて、これから研究したいこと
木本植物の分類形質としての性表現や繁殖についての研究: 木本植物(樹木)は、草本植物に比べると調査や栽培に手間がかかることもあり、性表現などの基本的な形質ですら十分に調べられていません。フィールドワークと実験室での解析の両面から未解明の問題を調査していきたいと思います。
果物の栽培や利用の歴史に関する研究: 日本における果物の経済栽培は、江戸時代後期に一般化し、明治以降に本格的に発展しました。さらに、誰でも普通に食べられるようになったのは戦後のことのようです。また、果樹の栽培は、労働集約的で高付加価値化を目指した現代日本農業のトップランナーであり、様々な新技術が農業現場へ導入されてきました。こうした生産の現場から食卓に至る果物の歴史を振り返ることにより、私たちが見落としてきたことはあるのではないかと考えています。
昔からある栽培植物の由来や多様性に関する研究: 栽培植物では、主として農業的な観点から栽培品種の収集、保存も行われていますが、品種の異同や由来などの科学的データはあまり収集されていません。一方日本には、明治以降に沢山の農作物、観賞植物が導入された結果、江戸時代以前から存在した栽培植物は激減しました。たとえ残っていても、多くの場合は新しい導入植物と交雑してしまったようです。そこで、フィールドワークと実験室での集団遺伝学的解析から、現存している古い栽培品種の由来や多様性を解明したいと思います。