5. 陸前高田市立博物館の復活にむけて

 
  • 移動展示「陸前高田市立博物館の被災状況」 

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平成23年10月30日に生出地区コミュニティーセンターを会場に「おいで木炭まつり」が開催されました。

陸前高田市立博物館では、文化財レスキューの現状を広く来場者の方々にご覧いただき、文化財が被災しても失われていないこと、それらを 守り伝え続けることの必要性を訴えました。

解説パネル1枚1枚に心を込め、工夫をしました。

 

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倉敷市立自然史博物館友の会から寄贈を受けた展示ケースに資料を展示しました。

ほとんどの資料が津波を受け、瓦礫の中から再発見された収蔵品です。

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国立科学博物館から寄贈を受けた展示ケースには被災を免れた気仙隕石を展示することに。

この隕石は、市内気仙町丑沢の長圓寺前に1850年に落下したもので、文書に記録が残る資料として、世界的にも有名です。

 

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もう少しで展示が完成します。

 

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救出された資料たちが、津波の危険性を伝えます。
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たくさんの方々に博物館と資料の被災状況、資料の救援活動の状況などをご覧いただきました。
  • 復活した出前博物館!

 

 陸前高田市立博物館では、大震災以前から教育普及事業の一環として「出前博物館」を実施してきました。出 前博物館とは、博物館資料を学校や公民館などに「出前」のように持参し、学芸員が授業や講話を行うものです。

 震災後、回収した膨大な資料を保存するための終わりの見えない作業に追われており、出前博物館を行う余裕 すらありませんでした。しかし、震災直後から博物館資料のレスキュー活動にご協力いただいている国立科学博物館の真鍋真先生が、市立博物館が震災前から出 前博物館を積極的に展開していたことを知り、「ぜひ、復活させましょう」と提案していただきました。学校も大変な時期に実施が可能なのか迷いましたが、米 崎小学校のご協力を得て、8月29日に出前博物館を復活することができました。講師には真鍋先生をはじめ、静岡科学館る・く・る、千葉県立中央博物館、 JAXA(宇宙航空研究開発機構)、そして、陸前高田市立博物館を加えた豪華な講師陣にご御協力いただきました。

 真鍋先生からは、「ぜひ、シリーズ化を!」ということで、現在の6年生が卒業するまで実施することになり ました。「ティラノサウルスのお話」、「隕石と恐竜のお話」、「陸前高田の化石のすごさ」などなどで、化石のレプリカ作りなども行っています。こどもたち も先生方のとても面白いお話に興味津津です。


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 静岡科学館る・く・るの高橋みどり先生による気仙隕石の講話。

 日本一大きな隕石のお話です。


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 茨城県の博物館に貸し出していたため被災を免れた「気仙隕石」が里帰りしました。

 子供たちも生まれて初めて触った隕石の質感や重さに大興奮でした。

 気仙隕石は、被災後初のお披露目でした。

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 千葉県立中央博物館の加藤久佳先生は、化石が大好きで、中学卒業の時、化石探しの一人旅でこの気仙にやってきたそうです。

 アンモナイト、三葉虫、ティラノサウルスの歯のレプリカ作りにみんな真剣でした。

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 第4回目の出前博物館は、小惑星探査機「はやぶさ」のカプセルの開発に携わり、実際にオーストラリアに帰 還したカプセルを自らの手で回収された、JAXA(宇宙研究開発機構)の山田哲哉先生による講話でした。

 この日は、米崎小学校6年生に加え、校舎が地震で使用できなくなったため米崎小学校3階で勉強している米 崎中学校の全校生徒も山田先生のご講話をお聞きしました。

 山田先生は、「はやぶさ」が残したもの。それは、「あきらめない勇気」であるということを、自らのはやぶ さカプセル研究開発での苦労話を交えながら子供たちへメッセージとして伝えてくださいました。

 陸前高田市立博物館も「あきらめない勇気」を持って頑張っていきます。


 

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