アリ・ハチの仲間の多くは女王を中心とした社会を形成し、コロニーの中に女王アリ・雄アリ・働きアリといった階級を持つ社会性昆虫として知られています。アリの生活史は他の昆虫類と比べて大きく違っていて、大抵の昆虫が一年以内で寿命を終えるのに対し、アリのコロニーは普通、年から10年以上にわたって維持され、多くの場合一頭の女王アリが繁殖を行います。その一方で、アリの巣は地中に作られるために、女王をはじめとするアリたちがどのようにして季節変化を知り、どのようにして生活史を組み立てているのかはよくわかっていません。

　そこで、トビイロケアリやシリアゲアリの仲間の女王を採集し、さまざまな条件で飼育することによって、女王がどのようにしてコロニーを拡大し、いつどのようにして冬の到来を知って産卵を中断するのかを調べています。