技術考古学レポート (シラバス2)
 「■■時代の●●製作技術の復元」
                       担当教員 富岡直人

T 目的
 遺跡出土資料の製作技術を実証的に解釈し、その製作・利用技術を歴史的に位置づける方法と意義を体験的に学ぶ。
 考古学資料の科学的分析の重要性について理解を図り、考古学が人文的分析と自然科学分析の融合によって進展することを学習する。

U 課題
 各章とも2段落以上で構成すること。
 第1章 資料の定義
  「1つ(あるいは2つ以上)の考古学資料」を選択し、その全体の適切な名称を日本語の学術用語と英語で記す。さらにコピーか手書きによる図版を提示 し、部分名称を三カ所以上記し、その遺物の外観を解説する。
 第2章 資料の分析法
   その資料に対する理化学的(あるいは客観的)分析手法の紹介.(過去の研究史と今後の可能性を併記すると良い。論争を示すとなお良い。
 第3章 資料の機能
   その資料の使用方法の諸説の紹介と君達自身の分析による推定.
 第4章 資料の製作技術
   第2章を受けて製作技術を推定し復元する。必ず製作技術の復元図を示すこと。復元図は自分の手で描くこと(インターネットや図書のコピーは不可。写 す場合も、著作権侵害をせずにオリジナリティーを示すこと。)
  事前に企画書を製作し、それを4月21日に提出する。本編は5月12日に提出する。
 内容はシンプルに書き、調べた内容をただダラダラ写すだけでは評価できない(そんなことなら小学生でもできる)。整理された分析・考察を自分で行ない、 自分の意見を反映させて内容を記述すること。

V 形式
 A4横書き原稿用紙を使用し、2枚以上8枚以内にまとめること。コンピュータ・ワードプロセッサーの場合は、800字以上3200字以内で記述し、紙数 は2〜3枚程度とする。左上を糊で綴じる。環境保護の為、ホッチキスの使用は認めない。文中に自作キャプションをともなう写真・図表を2点以上載せるこ と。
 表紙左上に「富岡(先生と書き加える)担当水曜日、3・4時限:古代技術考古学レポート」、中央に「■■時代の●●製作技術の復元」のように 題名を書くこと、■■や●●は、「旧石器時代の国府型ナイフ製作技法の復元」「縄文時代の遮光器土偶の製作技術の復元」「弥生時代の木製農具製作技法の復 元」のように記すこと。さらに右下に「学番」「氏名」を記入すること。

W 内容
 何かを写すだけで終わらず、必ず資料批判をし、自分の確信を持って記述すること。君たちの論考こそが採点対照なのである。専門家に提出するレポートを書 くべし。着眼点は授業において詳細に説明する。説明時に欠席・遅刻・早退した学生には、一切あらためて説明しない。使用した文献は、下記の書式に則り参考 文献として原稿最後尾に付記すること。

X レポート製作の注意
 レポートのまとめ方が判らない学生は、大学生の素養に欠けていることを自覚し、『研究ハンドブック』などを参考に、レポートの製作方法を研究すること (ただし、レポートの書き方についての書籍は、参考文献としてカウントしない)。就職活動や卒論製作にも反映される勉強であるから、十分な準備のもと取り 組むこと。

Y 参考文献
 使用した文献は、「参考文献」として原稿最後尾に付記すること。著者編者名をあいうえお順あるいはABCD順にならべて整理すること。文献は、以下の推 薦文献から1冊以上を選択し、教科書も含めて必ず3冊以上を掲げること。記載内容は、以下のとおりである。
編著者名、訳者名(必要な場合)、発行年、「論文名(必要な場合)」、『書籍名』、pp.○○〜△△(必要な場合:複数ページ)、p.□(必要な場合:単 数ページ)、(出版社)
 p.pp. の記述方法に注意すること。内容が、不足の場合は減点する。発行年は西暦表記に統一すること。

Z 注意点
 上記レポート内容については、授業中指示し、質問も受け付けるので、総合情報学部事務や理学部事務、教務掛などに問い合わせないこと。あらためて質問し たい学生は、授業時間中に担当教員に質問すること、授業時間外の質問は、オフィスタイム以外には残念ながら受け付けることは困難である。
 提出する内容は、自分の調査に基づく事実と意見の記述であること。盗作などの不正が疑われる場合は、得点を与えない。
 提出されたレポートは、授業中に内容を発表し、ディスカッションを実施する。ディスカッションに参加する学生には平常点を考慮する。採点に対して不服の ある学生は、返却時に即刻申し出ること。時間が経ってからの変更は不可能である。
 提出物は、基本的に黒インクで記述すること。また、ワードプロセッサーやコンピュータの使用を認めるが、感熱紙は不可、普通紙・熱転写用紙は可とする。 また、必要に応じて多色を利用しても構わないが、容易に退色するものは不可。文中でフォントを変更することは認める。
 レポート中に載せる写真・図表は、出版物からのコピーが可能な場合はコピーや切り抜き、あるいは自分で製作したオリジナルの図を載せること。出典を明記 しない場合は、盗作とみなす。自作の場合はわかる位置に「(オリジナル)」と記入すること。キャプションは必ず「第■図 内向花文鏡の模式図(オリジナ ル)」「第■図 石包丁製作技術(潮見1988:p.20より引用一部改変)」のようにキャプションを付すこと。図の場合は図の下に、表の場合は表の上に キャプションを記すこと。
 誤字・脱字や意味の伝わらないレポートは減点する(一カ所につき-1点)。提出前に十分推敲すること。その他、授業中の注意をよく聞き、制作すること。 説明時欠席の学生であっても、注意を踏まえていない提出物は減点する。
 このレポートを提出しない学生は、試験を受けても単位を取得できないので注意すること。レポートを提出した学生は、試験を受けていなくても、部分点がつ くことから、点数が配分され、E(受験なし)扱いにはならず、Dになるので注意すること。
 〆切 レポート企画書:第4週、レポート本体:第6週(講義時間中に提出)

[ 推薦文献(このなかから必ず一冊は参考文献に用いること)
(勿論これ以外の文献を使用しても良い:本学図書館に配架されているのは一部で、さらに冊数は少ないので注意すること。本学
理解できない内容については各種辞典類を利用すること。百科事典・字典・辞書以外は引用を認める。(『日本史広辞典』『日本史辞典』『日本史大事典』な ど)。図書館以外の岡山県総合文化センター、生涯学習センター、岡山市立中央図書館、幸町図書館、関連学園および岡山大学などの附属図書館を利用する場合 は、各館の規則を遵守すること。不正をおこなった場合は単位を認めない。くれぐれも違法行為を行わないこと。)他にも、平凡社 『陶器全集』のシリーズ、 平凡社 『日本陶磁大系』のシリーズ、平凡社 『日本やきもの集成』のシリーズ、中央公論社 『日本陶磁全集』のシリーズ、小学館 『縄文土器大鑑』のシ リーズ、講談社 『縄文土器大成』のシリーズ、講談社 『日本原始美術大系』のシリーズは使えるものがある。
1998〜1999『考古学と自然科学』第1〜5巻(同成社)
1985〜1986『岩波講座日本考古学』第1〜7巻・別巻1・2(岩波書店)
1982〜『季刊考古学』第1〜(雄山閣出版)
1984〜『考古学シリーズ』(東京美術)
有光教一他編 1979 『世界考古学事典』上下(平凡社)
石川栄吉他編 1994 『文化人類学事典』(弘文堂)
井上光貞監修 1979 『図説歴史散歩事典』(山川出版社)
大川 清 1996 『日本土器事典』(雄山閣出版)
大田区立郷土博物館編 『ものづくりの考古学 −原始・古代の人々の知恵と工夫−』(東京美術)(←特別推薦)
大塚初重他編 1996〜98 『考古学による日本歴史』1-10(雄山閣出版)
大阪府立弥生文化博物館編 1991 『日本文化の源流をさぐる 弥生文化』(平凡社)
オールトン,クリーブ著、及川昭文訳 1987 『数理考古学入門』(雄山閣出版)
兼岡一郎 1998 『年代測定概論』(東京大学出版会)(←特別推薦)
金子浩昌 1984 『貝塚の獣骨の知識』(東京美術)
久保和士 1999 『動物と人間の考古学』(真陽社)
小林達雄編著 1999 『最新縄文学の世界』
窪田蔵郎 1979 『鉄の考古学』(雄山閣出版)
後藤和民 1980 『縄文土器をつくる』(中央公論社)
国立歴史民俗博物館 1999 『歴博大学院セミナー 考古資料と歴史学』(吉川弘文館)
斎藤 忠  1998 『日本考古学用語辞典』(学生社)
坂詰秀一 1991 『歴史考古学入門事典』(柏書房)
佐々木高明 1986 『縄文文化と日本人−日本基層文化の形成と継承』(小学館)
潮見 浩 1988 『図解 技術の考古学』(有斐閣)(←特別推薦)
白石太一郎他 1993 『新視点日本の歴史2 古代編』(新人物往来社)
富岡直人 1998 「動植物遺存体の分析・論争−海外の研究事例も含めて」
           『遺跡・遺物から何を読みとるか(U)−食の復元−』(帝京大学山梨文化財研究所):pp.72〜82
富岡直人 2000 「学際領域研究 −自然科学的手法による考古学研究」『日本考古学年俸』51:pp.5-12(日本考古学協会)
富岡直人 2002 『遺存体データベースからみた縄文・弥生時代生業構造の変化』(科学研究費報告書)
富岡直人 2002 「考古科学としての動物考古学の多様性と総合化を考える」『日本考古学協会第68回総会研究発表要旨』(日本考古学協会)pp.7- 9
中野益男 2000 「残存脂質分析法による解析」『環境と食料生産 古代史の論点@』pp.208-218(小学館)
中村 浩 1985 『古代窯業史の研究』(柏書房)
能登 健 1987 「縄文農耕論」『論争・学説 日本の考古学 3 縄文時代U』pp.1-30(雄山閣)
西本豊弘 1991 「縄文時代のシカ・イノシシ狩猟」『古代』91:pp.114-132
西本豊弘 1992 「動物考古学の方法」『国立歴史民俗博物館研究報告』第42集:pp.1-14
西本豊弘 松井章編 1999 『考古学と自然科学 A 考古学と動物学』(同成社)
日本人類学会 1984 『人類学 その多様な発展』(日経サイエンス)
日本第四紀学会他編 1992 『図解・日本の人類遺跡』(東京大学出版会)
日本第四紀学会編 1993 『第四紀試料分析法』(東京大学出版会)
長谷川政美 1992 『遺伝子が語る君たちの祖先〜分子人類学の誕生〜』(あすなろ書房)
馬場悠男監修 1997 『人類の起源 イミダス特別編集』(集英社)
馬場悠男編 1998 『考古学と自然科学@ 考古学と人類学』(同成社)
林 謙作 1986 「亀ヶ岡と遠賀川」『岩波講座日本考古学 5 文化と地域性』pp.93-124(岩波書店)
春成秀爾 1990 『弥生時代の始まり』(東京大学出版会)
東野治之 1999 「論争と史実」『日本人の起源と地域性 古代史の論点E』pp.197-217(小学館)
藤村東男 2000 『改訂新版 縄文土器の知識U 中・後・晩期』(東京美術)(←特別推薦土器作りの復元)
藤本 強  1985 「年代決定論(一)」『岩波講座日本考古学 1 研究法』:pp.193-216(岩波書店)
藤本 強 1994 『考古学を考える:方法論的展望と課題 増補版』(雄山閣出版)
藤原宏志 1998 『稲作の起源を探る』(岩波新書)
松井 章編 2001 『日本の美術8(No.423) 環境考古学』(至文堂)
松井 章編 2003 『環境考古学マニュアル』(同成社)
松浦秀治、上杉陽、藁科哲男編 1999 『考古学と自然科学C 考古学と年代測定学・地球科学』(同成社)
マックグリュウ,W.C.著、西田利貞監訳 1996 『文化の起源をさぐる−チンパンジーの物質文化』(中山書店)
松島義章 1985 『先史時代の自然環境 縄文時代の自然史』考古学シリーズ21(東京美術)
馬淵久夫他編 1981 『考古学のための化学10章』(東京大学出版会)
馬淵久夫他編 1986 『続考古学のための化学10章』(東京大学出版会)
水野 祐 1987 「騎馬民族論」『論争・学説 日本の考古学 1 総論』pp.199-226(雄山閣)
宮本一夫 2000 「縄文農耕と縄文社会」『環境と食料生産 古代史の論点@』pp.115-138(小学館)
モース,E.S.著、近藤義郎、佐原真編訳 1983 『大森貝塚』(岩波文庫)
矢部良明編 1996 『やきものの鑑賞基礎知識』(至文堂)(←特別推薦陶磁器作り技法紹介)
山田昌久 2002 「コスモポリタン「縄紋人」『増補縄文人の時代』pp.17-48(新泉社)
山本忠尚 2001 『和英対照日本考古学用語辞典』(東京美術)(←特別推薦英語が豊富に出ている)
吉田集而 1998,99 『講座 食の文化』(農村漁村文化協会)
ラッカム,ジェイムス著、本郷一美訳 1997 『動物の考古学』(学藝書林)

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