Naoya Fukuda's Laboratory

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[星形成に関するキーワード]

星形成

キーワードとなる天体を進化の順に並べてみると、 原始星 → 若い星(Tタウリ型星, ハービッグAe/Be型星) → 主系列星 となります。

Tタウリ型星

太陽程度か太陽より軽い質量を持つ若い星です。水素の核融合反応で輝く主系列星の前の段階の星で、前主系列星に分類されます。 Tタウリ型星は古典的Tタウリ型星と弱輝線Tタウリ型星に分類されます。 スペクトルに水素の輝線がみられることが特徴です。 〇〇型星と分類されることから推測できますが、変光星の一種です。 自転による周期的な変光とフレアのような突発的な変光を示します。 不規則な変光も示しますが、その原因はよく調べられていません。
名前の由来となるおうし座のT星(Tタウリ)は3重連星であることが現在は知られており、典型的なTタウリ型星とは言えないかもしれません。

ハービッグAe/Be型星

Tタウリ型星より重く、太陽の2〜3倍の質量を持つ中質量の若い星です。 名前のeはemissionを表し、星のスペクトルに輝線がみられる天体です。

原始星

生まれて間もなく、Tタウリ型星など可視光線で観測される前の段階の若い天体のことをいいます。 原始星には、ジェット(jet)と呼ばれる高速のガスの流出現象や分子流・アウトフロー(Molecular Outflow)と呼ばれる分子ガスの流出現象がしばしば付随します。 原始星の周りには円盤(disk)やエンベロープ(envelope)と呼ばれる周りを取り囲むガスが観測されています。

ハービッグ・ハロー天体

若い天体にしばしば付随する星雲をハービッグ・ハロー天体(HH天体)と呼びます。 原始星のジェットが天体の周囲のガスと衝突することで発光し、ハービッグ・ハロー天体として観測されます。原始星のジェットが伝搬した先端では矢印や弓型のハービッグ・ハロー天体が、ジェットが噴出している根元では細長いハービッグ・ハロー天体がみられます。

若い天体のクラス

若い天体(Young Stellar Object)はそのスペクトルに応じてクラス(Class)分けをされています。 Class I天体に原始星が相当します。 Class II天体には古典的Tタウリ型星、Class III天体には弱輝線Tタウリ型星が相当します。 顕著な赤外線を出さない天体はClass 0と分類されています。

ブライトリム分子雲

分子雲の中で、明るく輝く縁(ふち)を持つものをブライトリム分子雲、ブライトリムクラウド(bright rimmed cloud)と呼びます。多くのブライトリム分子雲は大質量の星に付随し、その星からの紫外線によって表面が電離されたり、解離されたりします。IRAS衛星によって検出された赤外線で明るく輝く天体を含むもの、89天体カタログ化されています。

文責:福田