サケ科資源
東日本の貴重な食文化をはぐくんだ食料資源として特筆される。一時期に多量に河川を遡上すること。その資源を旧石器時代の終末期頃
より日本の領域に住んだ人々は利用し、縄文時代には多量に保獲して保存食料にしたり、交易に利用した可能性がある。縄文人がサケ科魚類をたくさん利用した
のかどうかは、山内清男の賛成論、渡辺誠の懐疑論が示されたが、松井章らの研究で細かく破片になったサケ科魚類が遺跡資料から抽出されたことで、賛成論に
軍配があげられた。現在は、そのサケ科魚類のどの部分が遺構から出土するか、といった、サケ科利用文化の質的な内容が問題になりつつある。この研究をリー
ドしているのが、札幌市埋蔵文化財センターの詳細な脆弱資料分析である。詳しくは札幌市埋蔵文化財センターの発行している報告書を参考に!
乾燥したサケの頭部(札幌市埋蔵文化財センター所蔵)
乾燥させると軟骨組織が収縮し、面容が険しくなる。
特にサケの持つ歯の鋭さが目につく。このように尖った歯は犬歯(ヒトの場合よく八重歯になる尖った歯。イヌに噛まれると刺さるように痛いのがこの歯であ
り、犬歯と呼ばれる。)に似るので、「犬歯状歯」と呼ばれる。サケは舌の骨にまで歯を持っている。この犬歯状歯は曲がり具合、太さ、大きさからA,B,
C1,C2,D2タイプに分類される(金子浩昌先生の分析を参考に一部改変、富岡1995,1996c)。
サケ科の頭部骨格
遺跡から出土するサケ科の骨格は小さく破砕されている場合が多い。
火を受けると亀裂が生じ砕けやすくなる。
遺跡での調査の場合は、炉の土は削るように採集するばかりではなく、塊で採集し、水の中でゆっくりふやかすように崩しながら採集すると、比較的大きなま
とまりが検出される場合がある。
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