考古理化学 
 モノ(遺物)を科学的に分析し、ものがどのような材料でできているか。
その材料がどこのモノを使用して、作られているのかを研究している。

 旧石器時代から弥生時代に使用されていた、石で作られた道具である石器の石材の分析。
弥生時代から近代までの土で作られた道具である土器の分析(粘土)。
これらの科学分析から、石材や粘土がどこのものを使用して作られたかを調べています。
そして、それらが作られた材料かからモノやヒトがどのように移動し流通していたかを研究しています。

(先生の研究テーマ)

  研究テーマ
    西日本における古代・中近世土器の生産と流通
      −自然科学的手法による胎土分析−
 
A)古代では、奈良の平城京に岡山県瀬戸内市の寒風窯跡で生産された須恵器が搬入されていることをつきとめた。
B)中世では山陰地方の各消費地遺跡(出雲市青木遺跡、松江市天満谷遺跡など)に岡山や兵庫県内の須恵器生産地(亀山焼、勝間田焼、東播古窯群)から須恵器が入っていることを胎土分析により明らかにした。
C)近 世では備前焼の産地推定を行った。これは、岡山の備前焼生産地以外の石川・大阪・京都・兵庫・広島(福山)・山口などで備前焼系陶器の類似品が焼かれてい ることが近年の考古学的調査で判明している。そこで、これら各地の備前系陶器と備前焼を胎土的に比較研究したところ、胎土分析でも違いがあり、生産地推定 が可能であることがわかった。




研究論文(レフリー有)(5篇)
1.西日本における中世須恵器の胎土分析 2007 九州古文化研究会・古文化談叢(第58集)205-227.
2.大和型瓦器椀の胎土分析 2000 日本中世土器研究会・中近世土器の基礎研究(]X)275-280.
3.瓦器椀の胎土分析 1998 日本中世土器研究会・中近世土器の基礎研究(]V)195-208.
4.讃岐地方の竪穴式石室石材の原産地推定 1993 九州古文化研究会・古文化談叢(第30集)623-638.
5.吉備地方の竪穴式石室石材の原産地推定 1991 九州古文化研究会・古文化談叢(第24集)119-134.

研究論文(レフリー無)(40篇)
1.出雲地方出土須恵器の胎土分析 2010 「出雲国の形成と国府成立の研究−古代山陰地方の土器様相と領域性−」45-54.
2.福山市内近世窯の胎土分析−鞆皿山焼を中心として− 2009 岡山理科大学自然科学研究所・自然科学研究所研究報告第35、27-35.
3.船越原遺跡採集土器の胎土分析 2009「渡嘉敷島船越原遺跡採集資料について」沖縄県恩納村博物館紀要第6号、24-28.
4.殿田1号墳出土陶棺の胎土分析 2009 「津山市油木北殿田1号墳の研究」くらしき作陽大学・作陽音楽短期大学研究紀要第42巻第2号(通巻第74号)50-52.
5.津山城跡出土の作刻印瓦と吉ケ原ブランド瓦 2009 西国城館論集T、163-168.
6.国元から藩邸へ−「作」刻印瓦の胎土分析から− 2008 岡山理科大学自然科学研究所・自然科学研究所研究報告第34、43-48.
7.梅谷皿山窯址採集資料の胎土分析 2008 鞆・梅谷皿山フォーラム論文集 13-16.
8.高松平野出土の弥生時代後期から古墳時代前期土器の胎土分析 2008 岡山理科大学埋蔵文化財研究会・埋蔵文化財研究論集、43-51.
9.胎土分析からみた備前焼 2008 山陰中世土器検討会・山陰地方における備前焼、77-82.
10.備前焼の胎土分析 2008 備前市教育委員会・備前市歴史民俗資料館紀要(第9集)105-111.