

 |
平日と休日の気温差から,都市排熱の気温への影響を定量化する
観測方法:学校施設の屋上に放射避けを施したサーミスター温度計を設置した。観測地点数は全14カ所である。
中間期2013年4月20日〜7月4日、9月14日〜11月10日 (計134日間)
冷房期2013年7月5日〜9月13日 (計71日間)
暖房期2013年11月11日〜2014年3月17日 (計127日間)
< 観測地点(アルファベット)>
オフィス・商業街:D, E, H
住宅地:B, F, I, J, K, K, M, N
混合型:A, C, G
< 日中の暑さ >
[ 解説 ]
中間期(春季・秋季)に比べて冷房期(夏季)は気温の空間的な非一様性が強く現れ、沿岸部は海風の影響で低温に、反対に内陸部では高温になっている。一方、暖房期(冬季)は気温分布が一様に近くなっており、±0.2℃(つまり最大0.4℃差)の範囲に入ってくる。
< 夜間の暑さ >
[ 解説 ]
いずれの季節でも市中心部のオフィス街や商業街で比較的気温が高くなっており、いわゆるヒートアイランド現象が明瞭に出現する。暖房期は内陸部の気温低下が大きいため、結果的に中心部と内陸部のあいだで最大1℃を超える気温差が生じている。
< 平日と休日の気温差(人工排熱由来) >
季節ごとに平日(月〜金)と休日(土日祝、お盆・年末年始)にわけて平均値を求め、平日から休日を引いた値の分布
偶然に生じる平日と休日の気温差を生駒山アメダスから求め、その値を除いた結果を示しているため、人間活動由来の気温差がここでは現れていると考える。
[ 解説 ]
日中は冷房期に、人工排熱に起因する平日の気温上昇が認められ、時間帯と場所によっては1℃を超える値になっている。特にオフィス・商業街と混合型の地域で顕著である。一方、暖房期の日中は、逆に休日よりも平日のほうが気温が低くなる(-0.4〜-0.2℃)。これは可能性の一つとして、外気から吸熱する(室外機から冷排熱が出る)ヒートポンプ暖房の使用が考えられる。
夜間は中間期・冷房期ともに、人工排熱由来の平日・休日の気温差がほとんど現れないが、暖房期は平日のほうが休日よりも0.2〜0.4℃ほど高くなっている。これは先述の日中とは全く逆のパターンとなっており、特に内陸部で顕著である。可能性の一つとしては、日中に暖房された建物内の熱が換気で徐々に流出していることや、温度上昇した壁体からの顕熱輸送が発生している理由が考えられる。 |
関連する公表論文
Yukitaka OHASHI, Makoto SUIDO, Yukihiro KIKEGAWA, Tomohiko IHARA, Yoshinori SHIGETA, and Minako NABESHIMA, 2015 : Impact of seasonal variations in weekday electricity use on urban air temperature observed in Osaka, Japan.
Quarterly Journal of the Royal Meteorological Society, in press (available online).
|
Yukihiro KIKEGAWA, Ai TANAKA, Yukitaka OHASHI, Tomohiko IHARA, and Yoshinori SHIGETA,2014 : Observed and simulated sensitivities of summertime urban surface air temperatures to anthropogenic heat in downtown areas of two Japanese major cities Tokyo and Osaka.
Theoretical and Applied Climatology, Vol.117, Issue 1-2 July, pp.175-193.
|
|