Top ⇒ 理科の基礎

[自然科学を学ぶ前に](理科の基礎)
	単位      数の表記、大きさ      割合、比率

● 単位
 長さ、質量、時間、速さ、密度など、物理量を示す単位は重要である。
単位は、基本物理量である長さ(Length),質量(Mass),時間(Time)などが、掛けられたり割られたりして出来る組み合わせであり、様々な単位を基本単位との関係で捉えたものを次元(=dimension)と言う。
 例えば、面積=長さ×長さ、体積=長さ×長さ×長さ なので、面積の次元は L2、体積の次元は L3である。密度は単位体積当たりの質量であり(密度=質量/体積)、その次元はML-3である。
計算する時には、複雑なものに限らず、式の左辺と右辺のdimensionを確認(左辺=右辺)する癖を付けて置くとよい(世間には、勿体ぶって計算をしているが実に無意味なものもある)。

 小学校算数の、「1本15円の鉛筆を20本買ったら幾らか」とか「一人当たり蜜柑5個ずつ4人に配ると何個になるか」と言うような簡単な問題でも、

 ・15円/本 × 20本 = 300 円
 ・5個/人 × 4人 = 20個

の様に、きちんと単位を付けた式を立てて計算すべきである。上式を

 ・20 × 15 = 300
 ・4 × 5 = 20  の様にしてはいけない。

 様々な単位記号中にある"/"は割る事であり、パーと読む(英語では per)。例えば速さ(次元は LT-1) Km/h (km/hr)は、キロメートル パー アワー=毎時何Km、と読む。h=hour(時間) m/m (m/min)は、メートル パー ミニッツ=毎分何m、と読む。m=minute(分) m/s (m/sec)は、メートル パー セコンド=毎秒何m、と読む。s=second(秒)   これを更に時間で割ると、 (m/s)/s=m/s2 となり、単位時間当たりの速さの変化量=加速度となる(次元は LT-2)。 rpm (=rounds per minute): 自動車のエンジン回転計に書いてある。分当たり回転数の表示。

 (前に戻る)


数字
 漢数字: 一 二 三 四 五 六 七 八 九 十  百 千 万 億 兆 など
	昔から日本で数を表すのに使った文字。
 ローマ数字: T U V W X Y Z [ \ ] など 古代ローマで発達した。時計の文字盤などに現在でも使われる事が多いが、実用からは遠い。
 アラビア数字: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 インド起源の文字がアラビアを経由し、変形して現在の形になっている。 算用数字として、現在では世界的にこの文字を使う。
数の表記(算用数字)
 中国や日本では、大きな数は10000(10の4乗)を纏まりにして数える。
一、十、百、千、万と桁上がりしながら数えたら、再び戻って一、十、百、千と言い、その後に(万)、億、兆など四桁毎に異なる名称を付けて呼ぶ。例えば 5789345628547 の様な数は、5,7893,4562,8547 と四桁毎にカンマ(,)を入れると読み易くなる(五 七千八百九十三 四千五百六十二 八千五百四十七)。

 一方西洋では、1000(10の3乗)を一纏まりにして数えるので、大きな数には三桁毎にカンマ(,)を入れる方が読み易い。そこで、5789345628547 は5,789,345,628,547 と書く事になる(何と読むか調べよう)。 日本人にとっては、四桁毎にカンマがあれば、その位置から 万、億、兆が直ぐ分かるので便利であるが、何十年も前から三桁毎のカンマ打ちに取って代わられている。不便だが、この表記に慣れる事。

 英語では 1,000はthousand(千)、1,000,000 はmillion(百万)、1,000,000,000 はbillion (十億)と言うのが普通である。
billion は元々 bi- million であり、1,000,000の二乗、即ち10の12乗(=兆)。英国ではずっとその意味で使われていたが、米国ならびにその影響の強い国々ではbillionを十億の意味で長く使い続けた。その為、現在はbillion=十億とする人が大多数である。大きな数は、誤解を避けるため指数表示するのが望ましい。
数を表す接頭辞
 1〜10を表すギリシャ語が、接頭辞としてよく使われる。
mono di tri tetra penta hexa hepta octa nona deca は、それぞれ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 に対応する。 身の回りで具体例を探しておく事。 例えば、 モノクロ(単色=白黒)=monochrome  トライアスロン(三種競技)=triathlon テトラポッド(四足)=tetrapod  デカメロン(十日物語)=decameron など  ラテン語の1〜10も参考に挙げておく。 unus duo tres quattuor quinque sex septem octo novem decem

 基本単位の1000倍、 1/1000倍 毎に異なる接頭辞を付けて分かり易くする。使われるのはギリシャ語由来の次の様な接頭辞である。

大きな数を表す:103=kilo-    106=mega-    109=giga-    1012=tera-
                1015=peta-   1018=exa-    1021=zetta-   1024=yotta-

小さな数を表す:10-3=milli-  10-6=micro-  10-9=nano-   10-12=pico-
                10-15=femto- 10-18=atto-  10-21=zepto-  10-24=yocto-

 数の大きさを表すこれらの接頭辞が、各種基本単位の前に付いてその大きさを示す事になる。例えば、
kilometer  	millimeter      micrometer          nanometer
Km=1,000m  	mm=1/1,000m     μm=1/1,000,000m    nm=1/1,000,000,000m
	長さに関しては、他に
	centimeter    angstrom(オングストローム) がよく使われる。
	cm=1/100m     Å=10-10m

 基本単位の10倍、100倍は、101=deca-   102=hecto-1/10倍、1/100倍は、10-1=deci-   10-2=centi- である。
 hectare=100ares=10,000u  	deciliter=1/10 liter
---------- kiloliter milliliter Kl=1,000l ml=1/1,000l (ml=ccで表す事があるが、これはcubic centimeter即ち1cm立方。1lは10cm立方なので1,000cc=1l となる。) ---------- kilobyte megabyte gigabyte KB=1,000bytes MB=1,000,000bytes GB=1,000,000,000bytes  computerの記憶容量を表す。

 
(前に戻る)
● 割合、比率
 部分の全体に対する割合を表すには、全体を 1とみなして小数もしくは分数表示するのが基本。
百分率やppmなどを用いるのは、小さな数値は言い難く、読み難いからである。

 日本では、割合を割、分、厘、毛で表す。これらは、それぞれ全体の0.1、0.01、0.001、0.0001を示している。  ただし、日常では「分」を「割」の意で使うことが多い(「五分五分」、「盗っ人にも三分の理」など)。
・百分率(%)=percentage: ある部分の全体に占める割合を、全体量を100として表す。
	記号の読みはパーセント(percent)。perは〜当たりという事で、割る事を意味している。centは100を表す。
	「35%」という記述は「100当たり35」即ち「全体を100とした内の35を占める」の意。
		35割る100=35/100=0.35=35%
	1$=100cents century=世紀(100年)
・千分率(‰)=permillage: ある部分の全体に占める割合を、全体量を1000として表す。 記号の読みはパーミル(permill)。millは1000を意味する。
・百万分率=ppm: parts per million partsは部分、perは〜当たり、millionは百万。 millionaire(ミリオネア)=百万長者 ある部分の全体に占める割合を、全体を1,000,000として表す。
・十億分率=ppb: parts per billion billionは十億。ある部分の全体に占める割合を、全体を1,000,000,000として表す。
・兆分率=ppt: parts per trillion trillionは兆。ある部分の全体に占める割合を、全体を1,000,000,000,000として表す。

ppmやppbは、化学物質などの環境汚染でよく耳にするし、最近はpptもちらほら目にする様になった
(何と微量か)。

計算: 1ccの液体を25mプールに薄めた時の濃度は?
横幅15m、平均深さ1.5mとして 25×15×1.5=562.5 m3  1m3=100万cc
故に 1/562.5=0.00178 ppm 1.78 ppb

 
(前に戻る)