生物地球学部 生物地球学科
昆虫生理生態学研究室
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「ナナフシ類の生活史を調節する環境要因に関する研究」

 木の枝に擬態する昆虫として有名なナナフシ類は、植物の種子に似た卵を産みます。この卵は秋から冬にかけて孵化する事がなく、次の年の春になってようやく幼虫が出てきます。卵の期間が半年以上になるということは、卵が発育を停止して(この状態を”休眠”といいます)、秋や冬に幼虫が孵化しないように調節しているということを意味します。もし秋に孵化が起きたとすると、卵から出てきた幼虫は適当な餌もなく、やがて冬の寒さで死んでしまいます。そうならないために、卵が発育を長期間停止することは、とても重要なこととなります。
 また、エダナナフシでは卵にアリ類が強く引き付けられることから、アリに卵を安全な土の中に運んでもらっていると考えられます。その場合、春になって卵から出てきた幼虫にとってアリの巣は安全な場所ではないでしょうから、いつ孵化するかが問題となります。

 現在、ナナフシの卵が環境の変化をとらえて適切な時期に孵化する仕組みがどのようなものであるのかを、ナナフシモドキとエダナナフシに注目して調べています。日本各地で採集したナナフシをさまざまな条件下で飼育することによって、卵期間を決める環境要因を明らかにしています。