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なんでも質問箱

ここは、生物地球システム学科の教員・学生に寄せられた、地球や生物などに関する皆さんの疑問に対し、生物地球システム学科教員の回答を紹介するコーナーです。

Q: 先日生地談話会でスッポンの解剖を見ました。そうしたら取り出された心臓が非常に長い間動いていました。心臓は心室と心房という2つの部分からできている複雑な器官だし、さらにそれらは何千、何万、きっと何百万という細胞からできているのだと思います。そういう細胞がなぜ心臓として組織的に動くことができるのでしょうか?いったいなにが心臓としての動作をコントロールしているのでしょうか。神経が脳幹と切り離されてしまったのに何が、どんな信号をだしているのでしょうか。
A: 心臓には、刺激伝導系と呼ばれる心筋が特殊化した筋線維束があります。これは、通常の心筋よりも自働性と興奮の伝達性をもち、心臓収縮の発端となり、そのリズムを心臓全体に伝えています。 刺激伝導系は、神経からの調節は受けるにしても、それ単独でも機能するため、心臓は、神経からの影響がなくても、自動的に収縮できるのです。 この回答では「繊維」という言葉ではなく、「線維」という表現を使っておりますが、これは解剖学での表現に従ったものです。

Q: 崖に生えている木は、根本の方は斜面に直角に生えていますが、直ぐに垂直に立ち上がっていくものが多いようです。まるで木は重力を感じるセンサーを持っているように見えます。木はどのように重力を感知しているのでしょうか。
A: 植物の体内には、「植物ホルモン」と呼ばれる、生長を制御する物質があります。植物ホルモンのひとつであるオーキシンは、茎や根の生長を調節する働きを持っています。生長の調節には、オーキシンの濃度が関係しています。茎では、オーキシンの濃度が高い方が生長を促進させます。このため、茎の下側の細胞の分裂、伸長が促進され、上へ伸びます。これを「負の屈地性」といいます。反対に根では、濃度が高いと生長が抑制されるので、上側の細胞が分裂、伸長するため、下へ伸びていきます。これを「正の屈地性」といいます。そのため、崖など地面と垂直な所から生えた植物は、茎は空へ向かって伸び、根は、地面に向かって伸びるのです。ですので、植物は植物ホルモンを使って、重力を「感じて」いるといえるでしょう。

Q: 人間を含む高等動物のあるオスが生涯に交尾するメスの数は、正規分布ではなくベキ乗分布だということを耳にしました。それは本当でしょうか。本当だとしたら、なぜそんなひどい不公平が生じるのでしょうか。
A: 人間行動学に関わる問題だと思われ、教員の中でも議論をし、類似した内容が掲載された学術雑誌についても検討しましたが、信頼できる統計等の論拠がないため、納得できるお答えが出せません。特に、何が「ひどい不公平」なのかも今ひとつ理解出来ません。お答えにはなっておりませんが、「現状では学術的に回答しかねる」というお返事で御了承頂ければ良いのですが。

Q: 庭木は手入れをしないでおくと樹形が悪くなってしまうような気がします。自然の木ではどうなんでしょうか。自然の木々にとっては、樹形というようなものは意味があるのでしょうか。
A: ことわざに「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という言葉があります。これは、桜は手を入れないほうが美しく、梅は枝を剪定してやったほうが、花つきが良く趣があるという意味です。つまり、庭木は人間の目から見て美しいように整形しているということです。 植物は、太陽の光を受けて光合成をおこない生長しています。庭木を手入れしないで樹形が悪くなるというのは、木が光を求めて好きなように枝を伸ばしているので、人の目からみると、不恰好に見えるのではないでしょうか。自然に生えている木では、植物の種類によって樹形が異なります。スギやヒノキなどの針葉樹は円錐形のような樹形をしていますし、クスノキやケヤキなどの広葉樹は半球形に近い形をしています。この形は、より効率的に太陽の光を受けられるようになっているのです。スギやヒノキなどは、緯度の高い地域の植物です。高緯度では、太陽は低い軌道を通ります。反対に低緯度では、太陽は真上を通るため、熱帯の樹木は半球形をしていると考えられています。 また、同じ種類の木でも広い公園に一本だけ生えている木と森の中に密に生えている木では、樹形が異なります。木の種類によってある程度は樹形が決まっていて、その種類にとっては意味のあるものだと思いますが、その形がいいか悪いかは人間の方の美意識であって、植物にとっては生きるのに必死なのです。 樹形に関するホームページ:

植物生態研究室(波田研)のホームページ「宇宙☆自然講座地球の公転と植物の戦略
http://had0.big.ous.ac.jp/~hada/calender/050709.htm
木々の移ろい 樹形-1, 2
http://www.asahi-net.or.jp/~db3t-kjmt/topics/kigi/jyukei1.htm
など。

Q: 日本で自然のダイヤモンドは採れますか。
A: 残念ながら、日本国内で自然のダイヤモンドは見つかっていないようです。ダイヤモンドは、地球内部のマントルと呼ばれる非常に深い所で、炭素が高温高圧にさらされてできる鉱物です。マントルのような地下深部にある物質が地表面に出てくるには、特殊な地質学的な環境が必要です。それに近いような環境を持った場所を丹念に調べれば、顕微鏡で観察できる位の小さなダイヤモンドが将来見つかるかもしれません。

(追伸)日本地質学会第114年学術大会(2007年9月札幌)において、日本産ダイヤモンド発見の報告がされました。見つけたのは名古屋大学と東京大学の研究チームで約1/1000mmの大きさだそうです。発見場所は露頭保全などの理由から明らかにされませんでした。

Q: カメムシのにおいは、人間には臭く感じられますが、カメムシを襲おうとする他の昆虫や動物たちにとっても臭いのですか。
A: カメムシの悪臭には、外敵から身を守るための防御物質としての役割があります。昆虫が人間と同じにおいの感覚を持っているのかどうかはわかりませんが、カメムシのにおいは他の昆虫に対しても毒性があり、カメムシの分泌物をアリなどが避けるという報告や、においの成分である化学物質によって他の虫が死んでしまうという報告もあります。また、カメムシ自身にとってもこのにおいは有害であり、蓋をした容器にカメムシを多数入れておくと自分達が出す悪臭によって死んでしまうということもあります。

Q: 備前焼は、どうして備前市付近で発達したのですか。
A: やきものつくりに必要なものは、まず、「土と薪」です。やきものつくりに良い土と高温で長時間焼くことができる燃料としての豊富な薪です。この基本的な条件を備前市周辺地域は満たしています。ただ、それでは隣の岡山市にも似た条件のところはあると思われますが、「備前焼」は発達しておりません。なぜでしょうか?おそらく、備前焼を作らせて、各地に流通させようとした人たちがこの地域にいたこと、さらに備前焼を作る技術、それを焼く窯などを作る技術を持った人たちがいたこと、そして流通に便利な交通網など、これらも重要です。つまり、土・薪・技術・人・交通網などがうまくそろった地域が備前市周辺だったからだと思われます。

Q: 朝のニュースで降水確率30%のときは、傘を持って学校に行ったほうがいいですか。
A: 降水確率30%という予報が100回発表されたとした時、そのうちの30回は1mm以上の雨が降るという意味です。雨の強さや量とは関係なく、とにかく1mm以上の雨が降る「確率」なのです。そう考えると、30%という確率は無視できませんよね。しかも1mm未満の雨(傘をささなくても我慢できる程度の雨)については考慮されていないので、それを含めると雨自体が降る確率はもっと高くなるはずです。というわけで、風邪をひかないためにも傘は持っていったほうがよいでしょう。

Q: 縄文人の竪穴式住居には、トイレはあったのですか。
A: 縄文時代の遺跡からは、時々糞が出土します。貝塚から見つかる場合が多いのですが、これは貝塚周辺に多いカルシウム分が影響したため、本来は腐敗して残りにくい糞の形が残されたためものかもしれません。ただし、この糞はヒトのものよりもイヌのものである可能性が高いと考える研究者もいます。 縄文時代の竪穴住居でトイレの構造が明らかになったケースはまだありません。縄文時代のトイレがちゃんとした建物のような形で作られていたのかも判っていません。もし、縄文時代にあきらかなトイレの建物状遺構が見つかったら、世界的に最古となる可能性があります。

Q: 各地で外来の植物や動物が在来種の生息域を犯しているという話を最近良く耳にします。旭川(岡山県)の川原でもそのようなことが起こっていますか。
A: 河原は、定期的に洪水などで撹乱が発生するので、帰化植物は多い立地です。旭川で目立つ帰化植物には、オオブタクサアレチウリシナダレスズメガヤオオキンケイギクなどがあります。オオブタクサは花粉症を引き起こす植物として嫌われています。工事や洪水の後には繁茂しますが、数年で少なくなるようです。オオキンケイギクは、旭川の堤防などで黄色の花を咲かせ、旭川の群落は全国的に有名です。河原の礫地にも侵入し、在来種の生育にも問題を発生させています。もっとも大きな問題を引き起こしているのはシナダレスズメガヤで、この植物が河原に侵入すると砂礫地を覆って繁茂し、在来植物の生育地を消滅させています。このような現象は、全国各地の河川で発生しています。

Q: 太陽も何十億年か先にはブラックホールになって、地球を飲み込んでしまいますか。
A: 現在の恒星の進化論では、太陽は質量が小さいためブラックホールにはなれません。行き着く先は白色矮(わい)星です。太陽程度の質量の星の場合、エネルギーを失ってしまったあとは自分自身の重みでずっと密度の高い状態に収縮しますが、大体10の5乗から6乗グラム/立方センチメートル(1cm3あたり100kgから1トン)程度で安定な状態に落ち着きます。これが余熱で白く輝いているのが白色矮星です。太陽がブラックホールになるには今の質量の2倍以上にならなければと無理で、そのような質量を持ってくる先(別の恒星など)が近くにはありません。したがってまずブラックホールになることは考え難いと思われます。仮に何らかの理由でブラックホールになったとしても、地球に及ぼす重力(万有引力)の大きさは変わらないので、依然として地球は回り続けると考えられます。
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