肱川あらし                         

冷たくて寒い!!

愛媛県大洲市の瀬戸内海沿岸地域で発生する強風現象、「肱川あらし」を研究しています。これまで何年もかけて、岩手大学、香川大学、神戸大学、立正大学と共同で気象観測をおこなってきました。一級河川の肱川に沿って海へと吹き出すようなこの強風は、地上でもしばしば10m/sを超える風速をもちます。秋から冬にかけて頻発するようですが、この肱川あらしは霧を伴うことが多いためか、とにかく冷たく感じ、実際の気温よりも体感温度はかなり低いと思われます。




海面は摩擦が小さいため、海上にまで強風が吹き出している様子が、霧で可視化されます。この霧は、川面で発生した蒸気霧のようです。肱川あらしを利用したウィンドサーフィンが、たくさん見られたのには驚きました!





あらしを観測

2008年から、毎年ではないですが肱川あらしを観測しています。その手法として、地上レベルで気温や湿度、風向風速を測定したり、自動車を利用した移動観測をおこなったり、ゴム気球をあげて上空の気象を測定したり、さまざまです。実際の気温と体感温度(寒冷ストレス)の違いも調べるため、通常の気象要素のほかに人の心拍数や自律神経の直接測定もおこなってみました。






        


幻想的な風景だけど・・・

肱川河口で観察される霧は、川面から発生する蒸気霧と内陸の大洲盆地から流れてくる放射霧の二層構造になっていました。それぞれの霧が広がる高度は違ってますが、いずれの霧も肱川あらしの強風によって流されているようでした。



肱川あらしは、霧と朝日が重なった条件でとても幻想的な光景をみせます。長浜地区の住民の方に聞いたかぎりでは強風による大きな被害はないそうですが、冷たい風が屋外で活動する人の体温を極端に奪ったり、視界不良をもたらしたりすることはあるのかもしれません。私たちの観測でも、まだ11月初めの季節なのにその寒さといったら、じっとして長時間の作業には耐えられないほどでした・・・


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